「37.5℃」という数字の意味を広く伝えたい
──ドラマ『37.5℃の涙』のテーマは「病児保育」ですが、なぜこのテーマを選んだのでしょうか?
渋谷未来さん(以下、渋谷) きっかけは知り合いの共働きのお母さんから薦められて読んだ椎名チカさん原作のコミックです。とても面白かった。私の母親はシングルマザーだったのですが、保育園で熱を出したときは迎えに来てくれました。そんな大人になってすっかり忘れていたことを、コミックを読んで思い出したんです。
お子さんを保育園に預けている人にとって、「37.5℃」はなじみのある数字ですよね。でも、それ以外の人は、この数字の意味をあまり知りません。最近は、共働き家庭やシングルマザーが増えていると聞いています。そんな時代にこそ、当人だけでなく、その当人の周りにいる人も含めて、病児保育のことをしっかり伝えていくべきではないかと考えたんです。
──蓮佛さんは、病児保育についてご存じでしたか?
蓮佛美沙子さん(以下、蓮佛) いえ、知りませんでした。病児保育士という仕事があることも知りませんでした。このドラマをやることになり、実際に訪問型病児保育を行っている「フローレンス」で1日研修を受けたのですが、現場を見ると驚くことばかり。子どもを育てながら仕事をするって、こんなに大変なことだったんですね。
──フローレンスで、どんな研修を受けたのですか?
蓮佛 桃子は新米の病児保育士ですから、子どもとの遊び方、赤ちゃんの抱っこひもの使い方、オムツの使い方、体温の測り方、熱性けいれんへの対応の方法などを教わりました。
実は私、赤ちゃんの世話自体はやったことがあるんです。小学校のころ、向かいに双子の赤ちゃんがいて、お母さんが一人で大変だったから、遊びに行ってお世話をしたりしていました。でも今の育児は、そのころよりかなり進化していますね。特にオムツの進化は目覚ましく、ちょっと感動しました(笑)。
──研修で印象に残っているのは?
蓮佛 代表が男性だったこと(代表理事の駒崎弘樹氏)。男性が病児保育をつくろうと思っていたことに、まず驚きました。
病児保育士さんの仕事ぶりにも驚きました。体調の悪いお子さんと一対一で向き合うのですから、みなさん、強い緊張感を持って仕事されているようでした。本当に大変な仕事だと思いました。