四谷の住宅街の一角にある〈DUAL時短ラボ〉。お昼休憩に、仲良くそろって食事をする時短ラボメンバー、いつもなら楽しい会話に花を咲かせているはずが、なんだか今日はみんな憂鬱そう……。事の発端は、エリちゃんの失敗談でした。
冷凍した食品を、素早く美味しく解凍
エリちゃん(いつも元気な研究員)「そういえば昨日、美味しそうなお肉を駄目にしちゃったんですよ……」
カオリ所長(DUAL時短ラボ所長。一児の母)「うっかり腐らせたの? 早く食べなきゃ駄目じゃない、もったいないわ」
エリちゃん「あ、違うんです。お母さんに冷凍で送ってもらったちょっと高くて良いお肉を食べようと思ったんですけど、解凍を待ちきれなくて……レンジでチン! しちゃったんです……」
ケンジくん(ちょっと人見知りな若手研究員)「ああ…………」
ユミエさん(ベテラン研究員。二児の母)「その顔は、ケンジくんもやったことあるクチね」
ケンジくん「時間調整がわからなくって、お肉にすっかり熱を通しちゃったんです。もちろん食べられなくなったわけじゃないですけど、パッサパサになるし、肉は縮むし、すっかり損した気分になりましたよ」
エリちゃん「私は、完全に熱を通しまではしなかったんですけど……中央部が結局全然解凍できてなくて。でも中途半端にとけてるから、美味しいだろう肉汁が出ちゃってたんですよ。やっぱり損した気分でした……我慢してちゃんと待てば良かったんだよなあ~~」
カオリ所長「うまみ成分が出ちゃうっていう話なら、自然解凍でも同じよね。今の時期だと衛生面も心配だし、結局冷蔵庫で解凍するしかないのかしら」
エリちゃん「え~~! 自然解凍ですら待てないのに、冷蔵庫なんてもっと時間がかかるじゃないですか、嫌ですよ!」
ユミエさん「みんな冷凍モノには悩んでるのね。ちょうど良いものをラボにも置いてあるから、紹介するわ」
カオリ所長「何? これ」
ケンジくん「巻きす……ですか? 海苔巻きを作る時に使うような……」
ユミエさん「そう。でもこれは海苔巻きじゃなくて『解凍』に使う『巻きす』なの。冷凍された食品に巻きつけるだけで、自然解凍の3~4倍の速度で解凍することができるのよ」
エリちゃん「それってとっても便利ですね! けど、一体どういう仕組みなんですか?」
ユミエさん「『解凍巻きす』は、熱伝導率の高いアルミニウムでできてるの。その効果で冷気も分散させることができるのよ」
カオリ所長「へえ、なるほどね」
ケンジくん「この巻きす型にも、理由があるんですか?」
ユミエさん「冷凍された食品を上下からくるむことで、スピードだけじゃなく、美味しくムラなく解凍することができるって仕組みなの。実は、できるだけ早く解凍することって、食べ物を美味しく食べるためにとても大事なのよ。-5℃から−1℃の間をできるだけ早く解凍させることで、食べ物の細胞が壊れにくくなって、美味しさをキープすることができるの」
カオリ所長「調理中の時短になるし、さらには美味しくなるだなんて良いことずくめね。いくらするのかしら?」
ユミエさん「6000円くらいね」
エリちゃん「えっ、思ったより高い……」
カオリ所長「そうね、確かにちょっと高いかもしれないけど……傷んで使えなくなったりするものでもないし、長い間使えると思えば、そんなに気にならないんじゃないかしら」
ユミエさん「その通り! しかもこの巻きす、解凍だけじゃないのよ」
エリちゃん「どういうことですか?」
ユミエさん「ふふふ、ちょうど今、使っているところだったから、キッチンへ見に行きましょうか」