いつも遊んでいる場所だけでなく、その周囲も気を付けて

 公園が犯罪に適していない場所だと判断した少年は、第三者に目撃されない場所に連れていこうとします。女児に「ここらへんに手を洗う場所はありませんか?」と聞き、女児が「学校にならありますよ」と答えたので、女児にそこまで連れていってほしいと頼んだのです。こうやって、女児を公園から連れ出しました。

 学校に行くまでの道を二人で歩き、その途中で犯行に及んだのですが、その場所が樹木と塀で覆われていて、マンションの窓が見えない道、つまり「見えにくい」場所でした。

2014年9月に川越小学校で行われた小宮先生の防犯教室でも、学校の周辺で「見えにくい」場所を発見。ゴミや放置自転車は、周辺の住人があまりその場所を注目していないという証し(写真撮影:勝山弘一)
2014年9月に川越小学校で行われた小宮先生の防犯教室でも、学校の周辺で「見えにくい」場所を発見。ゴミや放置自転車は、周辺の住人があまりその場所を注目していないという証し(写真撮影:勝山弘一)

──ということは、公園が安全だからと安心するのではなくて、その公園の周囲もチェックし、危ない場所がないかどうかを調べておいたほうがよいということでしょうか。

 そうです。子どもに「常に注意しろ」というのは、無理な話。だからこそ、危険な場所を自分で見分けられる力が必要になります。それが分かるようになれば、危険な場所に来たときだけ警戒すればいいんですから。

 お子さんと一緒に、家や学校の周りを歩きながら、危険な場所を見分ける訓練をしてほしいとお伝えしているのは、そのためです。特に今回の事件のように、親切心から誰かと一緒に移動するようなケースでは、こうした「景色解読力」がより重要になってきます。

 移動中や移動先の景色がすべて「安全な景色」なのかどうか。どこかに「危険な景色」があれば、一緒に移動しないほうが賢明です。その場合は、「もうすぐママが迎えに来るからどこにも行けないの。ごめんなさい」と言っておけば、相手を怒らせることもないでしょう。