こんにちは。女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳です。昨年9月に『「育休世代」のジレンマ』という本を出版しました。「育休世代」というのは、2000年代に入り、大企業の新卒採用に占める総合職女性の割合がかなり増えてきてから入社した世代のこと。本の中では、育休や時短などの制度がある程度整ったがゆえに、育児を夫でも祖父母でもなく自らの手でやろうとしてしまい、仕事のやりがいを確保することとのバランスに女性達がモヤモヤしてしまう現状を描いています。
 この連載では、本で分析した人達の周辺にあるジレンマに幅広くスポットを当て、座談会形式でヒアリング、分析していきます。『「育休世代」のジレンマ』では、祖父母の全面的な協力があるケースは対象に含めていないのですが、今回は座談会で「祖父母頼みのジレンマ」をお送りします。祖父母にかなりの割合で育児を託している育休世代の方々に、祖父母世代を頼るまでの経緯、頼るゆえの難しさや葛藤について語っていただきました。「上」「下」の2本立てでお送りします。

◆◆ 座談会の参加者を募集します! ◆◆
詳しくは記事の最後をご覧ください。

【今回の座談会参加者プロフィール】
Jさん 34歳、私大(文)卒。マスコミ。入社7年目に出産。夫も同業で多忙。
Kさん 36歳、国立(医)卒。医者。9年目、12年目で出産。夫は現在、大学院生。
Lさん 30歳、国立(理)卒。コンサルティング会社→4年目で産んで、復職後1年働いてメーカーに転職。夫は公務員。
Mさん 37歳、国立(法)卒。官庁。13年目で出産。夫は会社員。

子育てのために実家の近くに引っ越した、両親に転居してきてもらった

中野円佳さん(以下、敬称略) 今のご家族の状況を教えてください。

Jさん(以下、敬称略) 夫は人手としてカウントできず、実母に頼り切っています。実家はもともと都内ではなかったのですが、今は都内の、母方の祖父母が住んでいた場所に、祖父が亡くなってから実母と祖母が住んでいます。妊娠中にそこから徒歩5分の賃貸を探して引っ越し、今は徒歩10分圏内にいます。

Kさん(以下、敬称略) 子どもは0歳、3歳で、比較的夫は同等に家事・育児を担ってくれていますが、子どもが熱を出したときなどは実家に頼り切りで、夫の母にも来てもらうことがあります。実家がもともと都内で、子育てを踏まえて実家の近くに引っ越しました。ただ祖父母が500m以内に住んでいると認可保育園に入りにくくなるので、2人目を入れるために再度引っ越して今は1駅離れた所にいます。

Lさん(以下、敬称略) 二世帯住宅を賃貸で借りていて、実の両親、夫、私の大人4名と2歳の息子で住んでいます。2駅離れた保育園に入れていて、お迎えは私の母にお願いしています。夫も私も関西出身で、双方の実家は関西なのですが、私の育休からの復職を機に自分の両親に転居してきてもらいました

Mさん(以下、敬称略) 娘は3歳で夫婦共に忙しいので、祖父母世代に頼っています。双方の両親が遠方なので、関西から実母、関東から義理の母に2週間交代の泊まり込みで来てもらっています。最初は6カ月だけのつもりだったのですが、「孫もかわいいから」と言ってもらい、甘えてずるずると2年間、交代制を続けています。

中野 現在の、自分・夫・祖父母世代の育児や家事の分担は? 家事代行やベビーシッターは使っていますか?