マタハラを解決するために、あらゆる手立てを

 1人目はBTジャパン株式会社代表取締役社長の吉田晴乃さん。2015年6月、経団連初の女性役員として審議員会副議長に就任しました。

 日本にもウーマノミクスなるものが誕生し、ようやく大きく変わろうとしています。経団連では昨年公表した女性活躍アクション・プランを推進しています。その一つとして、会員企業約1300社に促して女性役員登用の自主行動計画を立てていただき、経団連のホームページに掲載。これが非常に功を奏し、どこかの企業が目標値を引き上げると、他の企業もすっと上げたりするなど、いい傾向が出てきています。目標に向かってまじめにまい進するのが日本の社会のいいところ。このままいけば、もしかすると意外と早い段階で欧米社会の先進諸国の女性活用レベルに達することができるのではないかと、我々も楽しみに見ています。

 これまでの長い歴史の中で、女性達は2、3歩下がり、男性社会を陰からバックアップする形で共に日本を守り、戦ってきました。今の女性達に言われていることは、男性と一緒に最前線に立って戦力になってくださいということ。輝ける女性こそが日本の未来の突破口であるなんて言われた時代はおそらくなかったと思います。名誉あるミッションだと思って、皆さんと一緒にこの道を歩んでいきたいです。

 2人目はマタハラNet代表の小酒部さやかさん。女性が妊娠や出産をきっかけに職場から嫌がらせなどを受けるマタニティハラスメントの問題を社会に提起、2015年3月に米国務省の「国際勇気ある女性賞」を日本人で初めて受賞しました。

 私が妊娠したとき、上司からは「契約社員に会社が産休育休を許すとは限らない」、人事部長からは「仕事も妊娠も取るのは欲張り。仕事に戻るなら妊娠を諦めろ」と言われ、無理をして働き続ける中で2度流産し、退職を余儀なくされました。日本では子どもを産み、働き続けたいという当たり前の希望がかなわない状態が続いている。いまだに第1子の妊娠をきっかけに6割の女性が仕事を辞めています。

 今の日本は産ませない社会です。しかし昨年安倍首相が、女性が輝く社会を政策の柱に掲げてくださったおかげで、日本でもやっと、女性が働き続けられる社会をつくるべきだという必要性が認識されはじめました。安倍首相には実行的な取り組みで本気度を示し、非正規も含め日本全体のマタハラを解決するよう、あらゆる手立てを尽くしていただきたいです。