「年収の5倍」は正しい?
余裕をもって家を買うために、まずは「無理のない予算」はいくらなのか把握する必要があります。
「家を買う予算は年収の5倍まで」「住宅ローンの返済額は年収の35%まで」といった話を聞いたことがある方は多いと思います。今でもそれを目安にアドバイスをする人はいますが、「ローンを安心して返せるかどうか」を考える際にこれらの数字にほとんど意味はありません。35%が25%とか30%といった数字の場合もありますが、数字が違っても意味は同じです。
「ローン返済額は年収の35%まで」という数字は住宅ローンを組めるかどうかの目安にはなります。多くの金融機関が年収の30%から35%を上限としているからです。ただ、現在の低金利の状況で35%を返済に回す前提で計算をすると、年収の10倍もの借り入れが可能です。当然こんな無茶なローンを組む人はいませんので、意味がないということになります。
そもそも年収500万円と1000万円では、同じ「5倍」や「35%」であっても、住宅ローンが家計に与える影響が全く違います。家庭によって何にどれだけお金を使えるのか、そして何に使いたいかも大きく異なるからです。特にお子さまの人数は支出額に強く影響します。年齢によってローンを組む期間も変わります。そういった点が「5倍」「35%」という「常識」には考慮されていません。
恐らくこの比率を初めて聞いたとき、違和感を覚えた方も多いと思います。私も当初はずいぶん雑な基準だと思っていましたが、まあそんなモノか……と、いつの間にか感覚がまひしていました。ですが、この「常識」は間違っている、意味がない数字である、ということははっきりと伝えておきたいと思います。
では、無理のない購入予算はどうすれば把握できるのでしょうか……。
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(日経DUAL編集部)