女性の再就職を阻む壁

 このように、社会状況の変化により、結婚・出産後も働きたいと考える女性は確実に増えていますが、結婚・出産後の再就職、転職のハードルは一気に高くなってしまうというのが現状です。

 「どのような点で結婚前に比べて就職が難しいと感じますか」という質問に対しては、「日時/時間/場所など家庭と両立できる仕事が少ない」「家庭との両立を理解して受け入れる企業が少ない」が1位・2位と続いており、「家庭と両立できる仕事」が見つからないという理由が最も多い回答になっています。

 特に、就学前の子どもがいる場合は、保育園のお迎えに間に合う仕事であることが必須の条件になります。最近は、育児に積極的に参加するパパも増えており、保育園の送迎をパパがやっているご家庭も見かけるようになりましたが、基本の送迎は母親が担当しているケースが圧倒的です。

 わたしも結婚・出産後の就活を2度体験していますから、その大変さはよくわかります。書類審査を通過しても、面接で子どもがいることを伝えた途端、態度が急に変わるのを感じたことも1度や2度ではありません。ただし、企業側の立場になれば、事情もよくわかります。同じ条件であれば、残業できない人よりも急な仕事に対応してくれる人の方を採用したいと思うのは自然でしょう。会社での制度の実績がないのに、いきなり新しく来た人だけが残業しないとなれば、職場の雰囲気も壊しかねません。

 「働いている間、お子さんは誰が面倒を見ますか?」「お子さんが病気の時は誰が休みますか?」子育て中の女性は面接で毎回このような質問を受けますが、男性は小さな子どもがいたからと言ってこのような質問を受けることはありません。

 男女雇用機会均等法の制定から約30年が経ち、キャリアの入り口で男女の差はほぼなくなりましたが、結婚・出産後のキャリアを継続させることはいまだに厳しい状況が続いているのです