グローバル社会の時代において、国際社会で活躍できる人材育成の重要性はますます高まっている。子どもの頃からグローバルな視野を持つためには、様々な方法があるが、寄付をすることをきっかけに楽しみながらグローバル感覚を身につけた少年がいる。

友達が持っているものを何でも欲しがる子どもが変わった

 「ゲームは、もういいや」。

 友達みんなが持っているゲームをほしがっていた和樹(かずき)君が、そうつぶやいたのは、「チャイルド・スポンサーシップ」を始めて数カ月が過ぎた頃だった。

大学院で研究しながら翻訳の仕事をする吉朝 加奈さんと、小学5年生の長男、和樹君
大学院で研究しながら翻訳の仕事をする吉朝 加奈さんと、小学5年生の長男、和樹君

 「以前は友達が持っているものが買ってもらえないと泣いて不満を言う子どもでしたが、最近ではまったくそういうことがなくなりました」と語るのは、東京都に住む小学5年生の男の子と3歳の女の子のお母さん、吉朝 加奈(よしあさ・かな)さんだ。加奈さんは人事関係の仕事をしていたが、出産後にご主人の海外赴任のため退職し、現在大学院で「働く女性と妊娠・出産」をテーマにした研究をすると同時にフリーランスとして、リサーチや翻訳の仕事をしているデュアラーでもある。

 「息子はお友達が新しいおもちゃを持っていると、すぐに欲しくなるタイプの子でした。『僕にも買って』と泣いて駄々をこねることもありました。下の子が生まれるまで一人っ子の時期が長かったせいか、自分の思い通りにならないと不平不満を言い、我慢するのが苦手なようでした。周囲(特にデュアラー仲間)の子たちは、ゲームを持っていることが多く、なぜうちはすぐに買わないかを説明しても、なかなか理解してくれないことに困っていました」と語る加奈さん。米国に滞在していた頃、子どもたちが自分たちでクッキーを売ったお金や自分のおもちゃを恵まれない子どもに寄付する活動を日常的に目にしていたが、日本にいるとそうした経験をすることが少ないと感じていた。

米国時代の和樹君(当時:6歳)と学校のお友達
米国時代の和樹君(当時:6歳)と学校のお友達

 「ごくあたりまえに寄付する米国の子どもたちを見てきただけに、自分の息子を含め、お年玉をすべて自分の欲しいものの購入に使ってしまう日本の子どもたちを見て、これでいいのか、と疑問を感じました。ものを買うこと以外のお金の使い方を息子に知ってほしかった。そこで家族で話し合い、お年玉の4分の1は他人のために使おうと決めたのです」。