サマースクールで和樹君に大きな変化が

 とはいっても、すぐに和樹君にグローバルな視野が身についたわけではない。和樹君に変化が現れ始めたのは、夏休みのサマースクール(ワールド・ビジョン・ジャパンが開催する子ども向けイベント)に参加してからだ。

アフリカで水汲みに使っているタンクを運ぶ
アフリカで水汲みに使っているタンクを運ぶ

 サマースクールでは、大きな紙芝居でルワンダに住む「1日の食事は1回だけ。朝と夜は紅茶一杯」というエリック君の生活を、参加した大勢の子どもたちと一緒に学んだ。和樹君は世界の子どもたちの日常を知ってびっくり。世界では5秒に1人の子どもが死んでいる現実に、自分の日々の生活がいかに恵まれているかということも学んだ。

 実際にアフリカで水汲みに使っている水をいれたタンクを運んで重さを体感したり、木の臼で麦を潰したり、テントの中で電気やガス、水道のない生活を具体的に想像するなど、アフリカの生活を疑似体験した。また、途上国の子どもたちの写真を絵札に、皆で読み札を作る「世界のこどもカルタ」作りなどを通し子どもたち同士の交流を楽しんだ1日だった。

 特に「世界のこどもカルタが面白かった」(和樹君)という。

途上国の子どもたちの写真を絵札とし、読み札をグループごとに考える「世界の子どもカルタ」作り
途上国の子どもたちの写真を絵札とし、読み札をグループごとに考える「世界の子どもカルタ」作り

 「サマースクールがよほど印象的だったのでしょうか、夏休みの作文にそこでの体験を書いていました。世界には、大変な中で生きている子どもたちがたくさんいる、と。それまでは、自分がいかに恵まれた環境にいるかということを話しても、なかなか理解してくれなかったのに(笑)。一緒に参加したお友達のお母さんも、『それまで、好き嫌いが多い子どもだったのに、サマースクールに参加後は、食事を残さなくなった』と喜んでいました」と加奈さん。