長時間労働をすると体力勝負に。すべての社員に活躍してもらうカギは“時間”

 「残業を減らした目的は残業代カットではない。管理職も含めたワーク・ライフバランスの推進だ」と強く言い続けました。

 支店で実際の働き方を見ると、支店長はコストのことを考えて残業代のかかる人を早めに帰している。つまり、残って働いているのは、残業代のかからない管理職だったのです。そこで「早く帰ることは管理職にとっても必要だ」と強く伝えるようになりました。

 管理職の中には22~23時まで働く人もいました。全員がそういう働き方をしていたら最終的には体力勝負になります。すると、女性は男性にはかなわなくなり、その結果、女性が仕事を続けるのが難しくなってしまうわけです。仕事と育児、仕事とプライベートを両立していくためには、全社員が自分で時間をコントロールできるようになることが大切です。

 男性でも年を重ねると、若いころのように長時間労働をすることは難しくなります。女性も男性も、ベテラン社員も若手社員も、すべての社員にとって働きがいを持って生き生きと働き続けられる環境をつくり上げていくためのカギは“時間”にあるのです。

「そうは言っても、うちはいい会社だよな」と思える会社こそが素晴らしい

 社員の働く姿を家族に見てもらう機会も作りました。2008年から実施しているのが、毎年夏の家族の職場訪問です。日ごろから社員を支えてくれている家族の方を、感謝を込めて招待しています。

 2014年の夏で7回目の開催となり、全国で5000人以上の参加がありました。最初は「子どもが来てパソコンを触ったりしたら、大変なことになる」と反対する声もありましたが、「いいじゃないの。子どもが来て何かあったら、その親が責任取りますから」と押し切りました。実際は問題など全く起きず、毎年盛り上がるイベントとなっています。

 家族から「良い会社で働いてるね」と言われると、社員のモチベーションは上がります。当社は「家族も会社の一員だ」と考えているので、社員にも家族にも好評なのはありがたいことです。

 たとえ仕事中に頭に来たことがあって「こんな会社辞めてやる!」と家族に愚痴をこぼしても、「そうは言うけど、私はいい会社だと思うよ」なんて言われたら、「あぁ、そうだな」と思い直すものです。会社は社員の家族にも支えられているのです。

 このほか、社員にモチベーション高く働き続けてもらうために、生活補助や健康サポート、財産形成や社内コミュニケーションの活発化などについても様々な施策を導入しています。

 会社で働いていれば、大なり小なり、必ず不平不満はあるものです。上司の悪口を言ったり「なんだあの会長は……」と思ったりすることもあるかもしれません。ただ、「そうは言っても、うちはいい会社だよな」と最終的に思える会社こそが、素晴らしい会社なのではないでしょうか。会社に対するロイヤルティが向上することはプロ意識やサービスの向上につながります。そして、結果的には株主やステークホルダーの皆様に還元されるのです。