「女性は管理職になりたがらない」という嘘
【セミナーに参加した経営者から寄せられた質問】
松本晃会長(以下、松本) うちの男性社員達はもう諦めているんじゃないでしょうか。私に向かって「あの会長はダイバーシティー推進をなかなか止めそうにないな。会長が辞めたらまた元に戻してやる」と思っている人も中にはいるかもしれませんが(笑)。でも、女性登用を含めたダイバーシティー推進をやめたら会社がダメになるのは目に見えています。
年配の男性は自分達の既得権を守りたいと思っているでしょう。でも、会社にとっては組織全体の利益のほうが大事。女性登用は当然のことです。
もともと男性と女性とでは歴史的に考え方の違いがあります。例えば、男性は地位が好きで、女性はお金が好きです。
カルビーでもそうだったのですが、女性に「課長になりませんか? でも、課長手当はこれだけです」と少額を提示しても、なかなか成り手が出ません。
女性は男性より賢いところがあります。男性は地位があったら給与が減っても平気です。ところが、女性は地位と給与のバランスを考えます。特に、家庭を持っている女性は「課長になったら家庭が犠牲になる。なのに給与はこれだけしか上がらない。だったら課長なんてやらない」という発想になりがちです。だから、管理職手当はきちんと払わないといけないのです。
私が管理職手当を支払う代わりに、管理職に課しているミッションが2つあります。一つは「与えられた目標を達成すること」。もう一つは「部下を育てること」です。こんなに大事なことをやっているのに、1カ月当たり1万5000円しか払わないと言ったら、誰もやりたがりませんよ。
一般的によく言われる「女性は管理職になりたがらない」というのは、真っ赤な嘘です。「管理職手当を1億円払います」と言ったら絶対にやります。そうすると「1万5000円なら受けない」「1億円なら受ける」となる。じゃあ、その間にある実現可能なポイントを会社が探せばいいんです。10万円なのか、50万円なのかは分かりません。それは会社それぞれ違うでしょう。そのポイントを押さえれば、女性に拒否されることは絶対ないと思います。