「女性が管理職になり、活躍している会社にはどんな秘訣があるのか?」――先日行われた、小室淑恵さん率いるワーク・ライフバランス社主宰の経営者限定の勉強会を取材しました。「カルビー会長 ダイバーシティーは成長のエンジン」で紹介した通り、カルビーは、利益も売上高も毎年成長し続け、女性管理職比率は6%弱から14%強へと上昇。さらに、時短勤務の女性執行役員や女性工場長も誕生しています。今回はカルビーの取り組みについて、松本晃会長と執行役員で中日本事業本部の本部長・福山知子さん、執行役員でコーポレートコミュニケーション本部本部長・後藤綾子さんに伺います。3人のトークのダイジェストを上・中・下の3つの記事でお届けします。「カルビー 16時に時短退社する女性執行役員の本音」「カルビー 『権限移譲』し、自走型社員を育てるコツ」に続き、質疑応答の後半の様子をお送りします。

「女性は管理職になりたがらない」という嘘

【セミナーに参加した経営者から寄せられた質問】

Q) 女性登用を男性社員はどのように感じているようですか?

カルビー・松本晃会長
カルビー・松本晃会長

松本晃会長(以下、松本) うちの男性社員達はもう諦めているんじゃないでしょうか。私に向かって「あの会長はダイバーシティー推進をなかなか止めそうにないな。会長が辞めたらまた元に戻してやる」と思っている人も中にはいるかもしれませんが(笑)。でも、女性登用を含めたダイバーシティー推進をやめたら会社がダメになるのは目に見えています

 年配の男性は自分達の既得権を守りたいと思っているでしょう。でも、会社にとっては組織全体の利益のほうが大事。女性登用は当然のことです。

 もともと男性と女性とでは歴史的に考え方の違いがあります。例えば、男性は地位が好きで、女性はお金が好きです

 カルビーでもそうだったのですが、女性に「課長になりませんか? でも、課長手当はこれだけです」と少額を提示しても、なかなか成り手が出ません。

 女性は男性より賢いところがあります。男性は地位があったら給与が減っても平気です。ところが、女性は地位と給与のバランスを考えます。特に、家庭を持っている女性は「課長になったら家庭が犠牲になる。なのに給与はこれだけしか上がらない。だったら課長なんてやらない」という発想になりがちです。だから、管理職手当はきちんと払わないといけないのです。

 私が管理職手当を支払う代わりに、管理職に課しているミッションが2つあります。一つは「与えられた目標を達成すること」。もう一つは「部下を育てること」です。こんなに大事なことをやっているのに、1カ月当たり1万5000円しか払わないと言ったら、誰もやりたがりませんよ。

 一般的によく言われる「女性は管理職になりたがらない」というのは、真っ赤な嘘です。「管理職手当を1億円払います」と言ったら絶対にやります。そうすると「1万5000円なら受けない」「1億円なら受ける」となる。じゃあ、その間にある実現可能なポイントを会社が探せばいいんです。10万円なのか、50万円なのかは分かりません。それは会社それぞれ違うでしょう。そのポイントを押さえれば、女性に拒否されることは絶対ないと思います。

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