海外で戦うには様々な人を集めて、全員で挑むしかない

Q) 女性管理職が生き生きと働いていると、社員全体の意識に変化が起きてくるものでしょうか?

後藤 ある事業部で、工場のスタッフ全員を集めてミーティングをしたときに、時短勤務中の女性社員達がすごく肩身の狭い思いをしていることが分かりました。朝の9時から午後3時まで、または5時までなどと勤務時間が決まっているので、他の時間のシフトに入れないからです。

 そこで、ある日、彼女達が集まって、「自分達にできることは何だろうか」と話し合い、ある工場では「手作りチーム」を結成しました。大型大量生産ではなく、商品を詰め合わせたパックを作るチームです。それまでも小売業さんから要望は多かったのですが、コストが合わなかったり小ロットでは作れなかったりという問題がありました。でもこの形式ならうまくいくかもしれないと、チームで企画や営業にも立ち会い、全プロセスに責任を持ちました。

 もちろん工場長や他の人もフォローしましたが、売り上げに貢献できることで誇りに感じているようです。このような形が各地で生まれていくといいなと思っています。

福山 これまで女性部下に課長などの役職をオファーしても「なりたくない」と言われることが多かったのですが、この1年半の私を見てくれていたのか、先日「主任候補や課長候補ですけど、研修に行きますか?」と女性部下達に聞いたところ、ほぼ全員が研修に参加してくれることになりました。その中には、以前はかたくなに昇格を拒絶していた人もいました。

 夕方4時に退社する働き方をしている私を見て、「私にもできるのでは」と思ってくれたのかもしれません。

松本 女性の管理職や役員に対する違和感は徐々になくなっていきますよ。これからの企業は日本人だけでは世界で戦っていけません。今後はますますそういう時代になると思います。日本の市場はこれから縮小していきますから、もう海外市場に打って出るしかない。まずは様々な強みを持った人を集め、組織を強化して世界で戦うしかないのです。

(ライター/西山美紀)