削減したのは、ムダに資料を作り込む時間

 Q)残業時間が減ったとのことですが、仕事のどの部分が減ったのでしょうか?

油谷 主に資料作成の時間です。コンサルタント業務は、考えたアウトプットを資料として作るのですが、よりよい成果物を作ろうと必要以上に力を注いでしまうケースが多々ありました。

長谷川 顧客からプレゼン資料を頼まれると、「A4サイズ1枚でください」と言われても、A3で情報満載に作り込み、それをA4に縮小して渡してしまうのです。そうではなくA4の範囲内で作ることが大切だと社員に浸透させました。

 Q)わが社では残業をやめなさいと言っても、「もっと残業をして仕事を身に付けたい」と言う若手の社員もいます。どのように考えたらいいでしょうか?

小室さん(以下、小室) 残業が減ってくると「残業をしたい」という声は必ず上がってきます。その心は「残業をしたい」ではなく「(仕事を通して)成長したい」というものです。若手が先輩達の成長実話を聞くと、「若いころ3日間徹夜した」なんていう話が出てくるので、「長時間働けば成長するのでは?」と勘違いしてしまうのです。

 この問題を解決するためには、上司が部下の成長に対して敏感になり、伝えてあげることが必要です。若手でAレベル、Bレベルの人がいたら、それぞれが成長しても、Bレベルの人がAレベルの人を上回るのはなかなか難しいもの。そこで、Bレベルの人を、以前に比べて伸びたかどうかという、ビフォー&アフターで褒めることを奨励すればいいのです。さらに「あなたには5年後、10年後、こういうことを期待しています。だからライフの時間も含めて、どういうことをやっていくか、目標を聞かせてほしい」という話し合いが必要です。

 かつてであれば「社内のプロジェクトをあと3つ回せば身に付く」という技術も多かったのですが、最近は仕事内容の変化が激しいので、来年にはその仕事自体が無くなるかもしれません。

 上司と部下の丁寧なコミュニケーションを増やしながら、プライベート時間を使った勉強を奨励し、以前の自分より成長しているという実感を後押しすることが大切です。