元小学校教員で2児のママでもある原田綾子さんが提案する「勇気づけ子育て法」を紹介するこの連載。前回までに、ほめてばかりの子育てには副作用があること(第1回)や、「ほめ」「勇気づけ」「勇気くじき」の違いについて(第2回)、どんなときも子どもを信頼することで子どもは伸びる(第3回)をお伝えしました。今回は困ってしまう子どもの行動の裏に隠された子どもの気持ちや、どう対処したらよいかというお話です。
(※本連載はアドラー心理学に基づく子育てのヒントが詰まった書籍『ほめるより子どもが伸びる勇気づけの子育て』よりお届けします)

親に注目してほしい子ども

 子育てをしていると「なんでこんなことをするの?」とか、「どうして何度言ってもわからないの?」と、子どもの行動にイライラしたり、困ってしまうこともありますよね。

 ほとんどの場合、子どもが親を困らせる行動をとる目的は、「親の注目を得ること」です。人は、無視されるくらいなら、怒られてでも注目がほしいのです。普通にしていても注目されないと感じた子どもは、親を困らせる行動をとって注意を引こうとします。

 よくある例を挙げましょう。

 たとえば、お兄ちゃんが弟を叩くとします。すると、お母さんがかけつけてお兄ちゃんを怒ります。そのとき、子ども(お兄ちゃん)は何を学ぶでしょう。「弟を叩けば、お母さんがぼくに関心を向けてくれる。お母さんに注目されるためには弟を叩けばよいのだ」ということを学ぶわけです。

 兄弟で夕飯を食べているときのこと。お兄ちゃんの食事のマナーや姿勢が悪い。すると、お母さんが注意する。姿勢を悪くする。また注意される。すると、子ども(お兄ちゃん)は「いつも弟ばっかりのお母さんに注目されるには、食事中に姿勢を悪くすればよいのだ」と学びます。

 学校だったら、授業中騒ぐ。すると先生が注意する。また騒ぐ。また先生に怒られる。すると、子どもは「先生に注目されるには騒げばよいのだ」と学ぶわけです。

 子どもが親、もしくは教師など大人を困らせるとき、子どもは「ぼく(わたし)を見てほしい。認めてほしい」という思いを表現しているんだな、と考えるとよいでしょう。

 では、そういった行動に対し、どのように対処したらよいのでしょうか?