「実際に楽器演奏を習得したり、歌詞を理解して歌ったりというのは、集中力が長く持つ3歳以降が向いていると言われます。しかし、それより前でも音楽が子どもに与える影響はとても大きいのです。絶対音感を身に付けるとか、楽器の演奏が上達するというよりも、集中力、創造性、表現力など、音楽を通して様々な力がついていきます。幼い時期にその土壌をつくってあげる機会になればいいなと思っています」と、創設者で園を運営するパットコーポレーション社長の尾﨑卓治さん。

 音楽を通じて、子どもたちの情操を豊かにしていきたいと、音楽を中心にした保育プログラムを行うこの園をつくった。

代表の子が「どんぐりのド、れもんのレ」と出すカードに合わせて両手を頭や肩に置きながら「♪ドドドー」とみんなで音階練習
代表の子が「どんぐりのド、れもんのレ」と出すカードに合わせて両手を頭や肩に置きながら「♪ドドドー」とみんなで音階練習

娘の保活を経験したパパがつくった保育園

 わが子の保育園がなかなか決まらない……。そんな現状を目の当たりにし、「ならば自分で保育園をつくろう!」という勇気あるママ経営者に、保育園取材をしていると時々出会う。しかし、今回は同じような思いを持つパパ経営者。もともと、人材派遣会社などを経営していた尾﨑さんは、娘にとって通いやすい保育園がなかなか見つからず、2回転園させた経験を持つ。そして、卒園まで通うことになった3つ目の園で保護者として行事に積極的に参加し、パパ・ママコミュニティーに加わるうち、保育園や保育士が子どもの成長にいかに大事かに気づいた。そこから、日本の未来を担う子どもたちの保育に携わりたいとスタートしたのが、この「キラキラキッズナーサリー」だった。

 「実は、若いころはプロのシンガーになりたくて上京してきたんです。様々な仕事をするようになっても、音楽は常に自分のそばにあり、保育園をつくりたいと思ったときも、音楽を中心に据えるのは自然の流れでした。しかも、努力すること、集中すること、楽しむこと、自信を持つこと……、音楽を通して学べることは音楽以外のことにも良い影響を与えてくれる。それを自分の経験や子どもに教えた経験から身に染みて感じてきました。子どもたちに身に付けてほしい力、それが音楽を通して楽しみながら身に付けられると思うのです」と尾﨑さん。

ピアノの音楽に合わせてお遊戯タイム。きゃっきゃっと喜ぶ声が広がる
ピアノの音楽に合わせてお遊戯タイム。きゃっきゃっと喜ぶ声が広がる

 主に0歳児、1歳児、2~4歳児の3クラスが1フロアでスペースを分けて使っており、リトミックの時間があるのは1歳児から。しかし、リトミックのプログラム以外にも、昼食、午睡など子どもたちの生活習慣に合わせて音楽CDをかけたり、絵本の内容を体を使って表現したり、簡単な楽器を作ってみたり、音楽との接点を常に多く用意している。

 年齢ごとに年間の目標を決め、それに沿って保育や音楽教育を行っている。例えば、0歳児は「リズムを感じる」、1歳児は「みんなで協力して何かを行う」、2歳児は「自分から進んで表現したり選んだりしていく」。そんな経験を日常の保育の中に少しずつ取り入れるようにしている。