遊びの専門家が教えてくれた、子どもの感性や想像力を磨く水遊び術を解説します。この夏は、市販のオモチャではなく、簡単にできる上に、子どもが自分の力で考えられるようになる手作りオモチャを使ってみるのも面白いのではないでしょうか。

子どもの想像の世界を豊かにし、自分で考えられるようにするために

 屋外での水遊びといえば、水鉄砲。よくジャブジャブ池などに行くと、かなりの勢いで水が飛び出す市販のオモチャで遊ぶ姿が見受けられます。しかし、特に幼児期の水遊びにおいては手作りのオモチャで遊ぶことをオススメしたいと、子どもの遊びの専門家である愛知教育大学の竹井史先生は言います。

「市販の水遊びオモチャはちまたに溢れていますが、何でも買ってきて済ますということになると、それに反比例して子どもの想像力が育たなくなってしまいます。市販のオモチャを否定するつもりはありませんが、やっぱり3〜6歳の子どもは、想像の世界をいかに作れるようになるのかという大事な時期です。例えば、ペットボトルひとつで遊ぶにしても、モノの見立てをして遊ぶ。そういった想像力が豊かになるような遊びをするようにしていただきたいですね」(竹井さん)

愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さん。水遊びやプール遊び、どろんこ遊びなど様々な住民参加イベントを企画して、7万人以上もの親子に遊びを伝えてきた。研究室には、簡単に自作できるおもちゃの材料が棚いっぱいに溢れている
愛知教育大学教育学部創造科学系教授の竹井史さん。水遊びやプール遊び、どろんこ遊びなど様々な住民参加イベントを企画して、7万人以上もの親子に遊びを伝えてきた。研究室には、簡単に自作できるおもちゃの材料が棚いっぱいに溢れている

 子ども自身が自分の感性を通じて物事を見立てたり、創り上げていく力を伸ばしてあげることだと竹井さんは強調します。

「大事なことは、想像の世界を豊かにしながら、自分の生活を追体験するというか、自分の生活をもう一度、見直すキッカケになるような遊びを経験させるようにするのがいいです。大人が作った消費社会に溢れるモノばかり使うと、それこそ子どもは消費するだけに終わってしまいます。その結果、子ども自ら何か物事を考えようとしなくなってしまいます

 子どもの想像力を伸ばすには、どうしたらいいのでしょうか?

「遊びのなかで、常にいろんなモノを何かに見立てて遊び、親が常に言葉で働きかけて想像の世界を広げてあげることが大事ですね。手を動かして親子で一緒に何か遊ぶオモチャを作るアクティブな経験をすることで、本当の意味で子どもが主体的に賢く考え育っていく原動力になるんじゃないかと私は思います」(竹井さん)

 水遊びに限らす、遊びに関して親が意識しておくべきこととして、竹井さんはこう言います。

「遊びというのは、非常に高度な人間の精神的、知的な活動であって、最終的に人間の文化や文明を生み出す原動力になっていくものなんです。人間にとって、遊びというものは自らが主体的に生み出していくものですよね。だから、遊びというのは、人間社会の未来にとって非常に大切なものであると言えるんじゃないでしょうか。こういったことを意識しながら子どもと楽しく遊んでいただきたいと思います」

 それではここから、竹井さんがオススメする屋内・屋外でできる水遊び術を6つ解説します。いずれも簡単に作れるオモチャを使って、子どもの感性や想像力を磨き、親子の絆も深まるものばかりです。筆者が実際に作って、娘と一緒に遊んだ体験もお伝えしますね。

【紹介する遊び】
●クルクル回って知的好奇心をくすぐる「三連水車」
●水が飛び散るのに大笑い! 小鳥のような音が出る「水笛」
●親子で速さ競争も、2Lボトルがグングン進む「ペットボトル動力船」
●子どもが不思議がる遊び、物体が浮き沈みする「念力水中エレベーター」
●誰でもすぐ作れる! ペットボトルを使った「超カンタン水鉄砲」
●想像力を磨いてくれる色遊び「ジュース屋さん」

クルクル回って知的好奇心をくすぐる「三連水車」

【作り方&遊び方】
 ドリンクタイプのヨーグルト飲料によくある小さめのペットボトル3本を束ねて、上下2か所を輪ゴムで固定。中に割りばし(なるべく角のない丸いもの)を通すと、三連水車のできあがりです。箸の両端を持って、水道水を水車にかけるとクルクル回ります。もちろん、風呂でもシャワーの水をかけて遊ぶこともできて楽しいです。

【竹井さんのアドバイス】
 水道水をかけるとクルクル回るのですが、水を当てる場所によって回る方向が変わったり、回る勢いが変わる不思議さや面白さを、遊びを通じて知的、感覚的に学ぶ遊びです。子どもの科学的な知的好奇心の引き出しを増やしてくれると思います。また、勢いよく回ると水しぶきも飛んでくるので、屋外であれば日の光でキラキラ輝いてキレイに見えます。ペットボトルのなかに何かキラキラ光るようなモノを入れても楽しいかもしれませんね。

【パパライターの感想】
 水車を作ってみたところまではきょとんとしていた娘だったが、いざ、水道水をかけて回して見せると「すごーい!」となり、「やらせてやらせて!」とかなりの食いつきっぷり。思っていた以上に水車は勢いよく回ります。水をかける位置を変えると回転方向が変わったり、勢いも変化。その様子を自分でいろいろ試しつつ、顔に水しぶきがかかると、キャッキャと喜んでいました。こんな超カンタンなオモチャでここまで楽しめるとは驚愕! お風呂に置いて毎晩、遊んでいます!