本連載では夏休みを前に、7カ月後に受験本番を迎える6年生(「『中学受験の天王山 小6夏休み』“塾別”過ごし方」)と、これから本格的な受験勉強が始まる4・5年生(「小4・5年 中学受験を希望するなら夏休み前必読!」)の夏休みの過ごし方について紹介してきました。記事を読んだ方の中には、「中学受験はこんなに大変なのかぁ~!」と驚いた方もいるでしょう。また、「高学年になってから慌てないように、今からしっかり勉強をさせておこう」と思った方もいるかもしれません。

けれども「低学年のうちは受験のための先取り学習より、色々なことを体験させることが大事」と話すのは、本連載でもたびたび登場している西村則康先生です。そこで今回は西村先生に、将来的に中学受験を考えている低学年のお子さんを持つ家庭に向けて、有意義な夏休みの過ごし方をアドバイスしてもらいました。

夏休みは朝の散歩から。親子の会話で身体感覚を伸ばす

西村則康先生
西村則康先生

 もうすぐ子ども達は夏休みに入るとはいえ、共働きのDUAL読者はいつもと変わりなく仕事がありますよね。「だからこそ、夏休み中は家で一緒に過ごせる朝と夜の時間を大切にしてほしい」と西村先生。

 「特に朝時間の有効活用をおすすめします。例えば、出勤前にお子さんと一緒に散歩をしてみてはいかがでしょうか? 散歩というのは、相手に歩調を合わせながら横に並んで歩くものです。この『横に並ぶ』というのが親子のコミュニケーションにとてもいいんです」

 「忙しい共働き家庭ではなかなか子どもとゆっくり話をすることができません。子どもの顔を見ればつい『早く宿題をしなさい!』『いつまでテレビを見ているの!』と叱ってばかり……ということもあるでしょう。でも、横に並ぶとなぜかゆったりとした気持ちになれるものなんです。子どもと並んで散歩をすることで『あ、あそこに朝顔が咲いているね』『ほんとだね』というように、自然とお互いに共感を求める会話が行き交うはずです」

 「実は子どもは目に入ったものはただ見ているだけの状態で注目はしていません。『これって、○○だよね』と人から言われることで細部まで理解することができるのです。中学受験は語彙力や体験の豊富さがとても重要になります。小鳥のさえずりや気持ちのいい風を受け『すがすがしい朝だね』と言われて初めて『すがすがしい』というのはこういう感覚のことを言うんだなと理解できるようになる。つまり、この時期の親子の会話がとても大切なのです」

 「低学年の子どもはまだ経験が少ないので身体感覚が薄く、そのため自分の知っていること以外はたとえ問われても答えることができません。特に国語の情感的なことは、過去に体験がないと想像すらできないのです。子どもの身体感覚を伸ばすには色々なことを体験させること。また、親が『これはこうなんだよ』と教えてあげるだけでも世界が広がります」

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著者/西村則康・小川大介
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【第1章】 わが子に中学受験をさせるか否か?
【第2章】 中学受験のパートナー 塾との付き合い方
【第3章】 受験生 普段の勉強と、長期休みの戦略的な活用方法
【第4章】 男女御三家と早慶付属校の最新問題傾向
【巻末付録】 必見!プロがすすめる併願パターン 74校が登場

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