母親コミュニティーで聞いたところ、「窓に紙が貼られ、鍵が付けられた会議室を搾乳のために会社が手配してくれた」「会社にもともと搾乳ができるようなスペースが設けられていた」など、搾乳をする場所については特に困ったという意見は出なかった。

 ただ、搾乳のために3、4時間おきに15分席を外すことが次第に難しくなったり、ミーティングや仕事の忙しい日など、タイミングがうまく取れなくて搾乳ができなかったりと、仕事復帰したワーキングマザー達が徐々に搾乳から離れていく様子は伺えた。初めは愛するわが子のために頑張って搾乳するものの、徐々にミルクの量が増えたり、搾乳する機会が減るため、早い時期に卒乳をするケースも少なくないようだ。

米国で議論される、母乳育児に対する世間の反応

 さて、アメリカでは度々、公共の場で母乳を与えることが議論されている。

 昨年、ロサンゼルスで有名な高級婦人服チェーン店で400ドル分もの高級服を購入した母親が、子どもがぐずったので店の奥で胸元を隠すカバーをかけて母乳を与えていたところ、店員から「他のお客様の迷惑になるので」とトイレのほうに誘導されたと言う。

 この母親がこの体験をFacebookに書いたことが母乳育児を行っている母親達の怒りに触れ、非難や批判が相次ぎ、ついにはテレビのニュースにまで取り上げられることになった。

 婦人服、しかも高級婦人服店が女性のことを理解しないとはけしからん!
 もうその店で買うのはやめよう!
 みんなでボイコットだ!

 騒ぎは大きくなり、これまでクリーンで人気があった婦人服チェーンは大きなピンチに立たされた。この騒動を収束させようと、後日、女性は店側のマネジャーからおわびをされ、かつ、店側は店内で胸元を隠すカバーをしていれば、母乳をあげてもよいということを宣言した。

 こういった問題は度々アメリカでは起きている。というのも、意外にも、アメリカでは公共の場で、母乳をあげられる場所がないのだ。