私は退院したが、母乳を与えるために病院に3時間おきに通わないといけない。自宅から病院までは10分かからないが、夜中も3時間間隔の授乳を行うため、通院の負担を減らすために私は病院に泊まることにした。息子はNICUにいる"理由"があるが、母親である私は病気ではないため、病院にいる"理由"がなく、病室はもちろん休むベッドも用意されない。仕方なく、息子の病室にある授乳用のソファーで寝泊まりをすることになった。

搾乳器ではトップブランドのメデラ。オバマケアのお陰で、300ドル以上もする電動搾乳器を100%保険で賄うことができた
搾乳器ではトップブランドのメデラ。オバマケアのお陰で、300ドル以上もする電動搾乳器を100%保険で賄うことができた

 ナースから「母乳で育てたいんですよね?」と聞かれ、私はすかさず「はい、とりあえずは母乳でチャレンジしたいです」と答えると、彼女はそれ以上は聞かず、「では、やはり3時間おきの授乳、搾乳を繰り返してください」と言った。

 初めての出産、初めての母乳育児、何も分からないことだらけで、ひたすら息子に乳首をくわえさせてみたが、黄疸は悪化。医者の話によると、体重も減少しているし、黄疸も悪化しているので、おそらく母乳が出ていないのだろうと。

「あなたが母乳で育児したいと言ったから!」

 いくら経っても、母乳が出ない私に医者が提案したのはSNSという方法だった。

 シリンジにミルクを入れて、細い管の先を乳首にピタッとくっつけ、赤ちゃんが乳首を吸う時、シリンジのミルクを一緒に吸ってもらおうという方法だ。この方法だと、哺乳瓶を使わずにミルクをあげることができる。

 ただ、これには問題があった。うまく管を乳首に合わせないと、シリンジに入れたミルクを吸うことができない。それでなくても乳首を吸わせるのに時間がかかっていたのに、この方法を取り入れてからさらに授乳に時間がかかるようになり、私の疲れはピークに達していた。

 「もうミルクを普通に哺乳瓶であげてほしいなぁ」。そう思ったが口に出さなかった。

 このSNSという方法でミルクをあげ始めてからも、息子の黄疸はよくならなかった。検査結果が出る度に、自分の母乳が出ていないことへの罪悪感とこのまま黄疸が悪化したらどうなってしまうのだろうかという不安と恐怖に押しつぶされそうになる。

 泣きながらナースに「なんで哺乳瓶でミルクをあげられないのですか?」とやっと声に出して聞いた。するとナースからはびっくりした答えが帰ってきた。

 「あなたは母乳で育児をしたいと言っていたから、あげてなかった。保護者であるあなたが哺乳瓶で与えてくださいと言えば、与えますよ」

 私はびっくりして、言葉が出なかった。