3歳頃は水を使ったスキンシップが大切

 幼児期の間は、水を使ってスキンシップをとるようにするのがポイントです。例えばお風呂でも、水を媒介にしながら、肌と肌が触れ合うようなスキンシップをたくさんするようにすることを、特に3歳前後の頃には大事にしてほしいと竹井さんは言います。

「3歳前後の時期は、自分と他者の区別が付くようになり、自分は自分という世界観もできてきます。遊びやスキンシップなどを通じて親の存在を理解していく大事な時期なのです。この時期の子どもは一対一で人間関係を培っていくので、水遊びを通して親子が仲良く遊ぶ経験をすると、親子の絆もグッと深まります

 例えばビニールプールで遊ぶときには、「ちょっと水に触ってみようか」と言いながら、子どもの手を握る。一緒に水に触れて「気持ちいいね!」と言うようにしたほうがいいのだとも竹井さんは話します。

「大事なのは、子ども一人で遊ばせるのではなく、必ず親が子どもに手を添えながら、一緒に『気持ちいいね!』って言うようにする。子どもは親と皮膚感覚で接しているので、安心感にもつながります。その安心感のなかで水の感覚の気持ちよさや楽しさをパパやママと共感体験するようにしてください」

 肌と肌が触れ合うスキンシップには、お風呂やビニールプールでの水遊びにはうってつけ。そういう意味では、「普段、わが子と関わる時間が少ないと感じているパパこそ、水遊びをたくさんして欲しい」と、竹井さんは言います。

 また、0〜1歳児の頃の水に親しむための水遊びは「お化粧あそび」がオススメ。頬っぺたなどに水をペチャっとつけて、『はい、キレイになりました!』という単純な遊びです。

「水なんだけれども、“お化粧をしている”というごっこ遊びです。嫌がらないようであれば、少しずつ水をつける範囲を広げていきながら、徐々に水に慣れさせることができます。
 先ほども述べたように、幼児にとって気持ちいいという感覚は、生きていく上での大きな原動力になります。やさしい言葉をかけてあげて、子どもの様々な感覚器官に働きかけるように常にメッセージを投げかけて遊ぶのが、水遊びのポイントです」

親子のパイプを太くするチャンスだ

 水遊びは親にとっても気持ちいいものなので、親子で“共感体験”ができる素晴らしい遊びなのだと竹井さんは言います。

「子どもも親もお互いに気持ちいい。そこで、パパが『ああ、気持ちいいねえ!』と言うわけです。普段は子どもは子どもの世界を生きているし、親は親の世界を生きているのですが、“気持ちいい”という部分で共感できる。気持ちいいという言葉によって、両者の世界をひとつにつなげることができるわけですね。そこが、子どもの世界と親の世界の接点になります」

 この共感体験こそが、親子の絆を深めるために大事なのだと竹井さんは言います。

「『気持ちいい』という共感体験をベースにした共通の遊びを重ねることで、お互いを新たに見直す機会が増え、相互理解が深まるようになります。なぜならば、共感を媒介としながら、親子がお互いを見直すチャンスも増えるからです。
 例えば、水鉄砲ひとつとっても、買ってきた水鉄砲で遊ぶのではなく、ペットボトルのキャップに穴を開けて一緒に作り、それを水鉄砲にして遊ぶ。親子で遊びの世界を創り上げていくわけです。すると、親子でお互いを見直す機会になる。『水鉄砲を作ってくれたパパはスゴいな!』と子どもは思うし、その水鉄砲を子どもがああしたい、こうしたいと言えば、親はわが子のことを『発想力が豊かだな』と見直すといったことにもなるでしょう。そこがとても大事ですね」

 夏の時期に、子どもの感性や想像力を磨くだけでなく、親子の絆も深まるとなれば「ちょっと頑張ってみようか」と思う親は多いはず。しかし、「親が子どもに何かしてあげないといけないと頑張り過ぎてもいけないし、義務感になってしまうと親も子もしんどくなる」と、竹井さんは言います。

「親も子どもも、一緒に生きているんだから、お互いに生きていることを楽しもうといった感覚でいるのがいいんじゃないでしょうか。何でもかんでも親がしてあげようと思っても、子どもは思った通りには育ちませんから(笑)。
 何かやってあげようではなく、子どもが自分で何かしようとしている姿を見守ってあげることが、親としての大事な役目なんだと思います。夏の水遊びというのは、感覚体験を通した遊びで、肌と肌の触れ合い体験にもつながります。いろんな意味で親子が密接に関われる遊びなんです。だから、『頑張り過ぎないで楽しんでください』と言いたいですね!」

 そこで次の記事では、頑張り過ぎず楽しみながら子どもの感性や発想力を磨き、親子の絆も深まる水遊びをご紹介します。

→実際の遊び方を解説する記事「子どもの想像力を伸ばす水遊び6選」はこちらです。併せてお読みください。

(文/國尾一樹)