子どもと大人の受け取り方の違い ドキドキしながら稽古

羽生編集長 今作『かがみのかなたはたなかのなかに』は、以前に新国立劇場で行った『音のいない世界で』と同じキャストでの作品ですね。またこの4人で、というのは前回の時から決めていたんですか?

松たか子さん(以下、敬称略) 前作が冬のお話だったので、今度は違う季節にできたらいいね、とは話していました。スタッフも含めて、また同じメンバーで集まれたのはラッキーだったなと思います。皆さん忙しい方ばかりなので。

 今は公演に向けて内容を詰めていっている段階です。今回は「鏡」がモチーフなんですが、鏡って動きを細かく決めようとするといくらでも凝ることができるんです。リアルな鏡の左右対称の動きを追求しようとしたり、逆に演劇ならではの実験的な動きを取り入れてみたり。だから想像力をすごく刺激される内容になっていると思います。子どもはどう受け取るか、大人はどう受け取るか、ドキドキしながら稽古してますね。

―― 台本を見せていただいたんですが、詩のような言葉が並んでいて、これをベースに稽古をしながら練り上げていくというちょっと特殊な作り方ですよね。ストーリーはどういう風に作っているんですか?

 脚本を書いた長塚さんと、振付も手掛ける近藤さんのふたりのアイデアを軸に進めています。そこにそれを的確に表現できる身体を持った首藤さんがいて。私は彼らの動きを見ているだけで楽しいです。彼らに触発されて、なんだか私までできないことができるようになるんじゃないかって気になるんです。だからちょっと妄想で頑張ってるみたいな感じですね(笑)。

一番右が演出を手掛ける長塚圭史さん
一番右が演出を手掛ける長塚圭史さん