テレビを見たりゲームをしたりしている子どもの姿を見て、つい「勉強しなさい!」「宿題をしてから遊びなさい!」と言ってしまうこと、ありませんか? 自ら進んで「勉強しよう」と思う子どもに育てるのは、簡単なことではありません。
 シリーズが50万部突破のベストセラー『東大合格生のノートはかならず美しい』『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』(ともに文藝春秋)の著者で、先日、小学生のノートの書き方をテーマとした『東大合格生が小学生だったときのノート』(講談社)を出版した太田あやさんは、「自学自習できる子に育てるには、ノート力を身に付けること」と言います。勉強が好きになり、成績が良くなる「ノート力」の訓練方法について、前編と後編の2回で特集します。

──太田さんは、『東大合格生が小学生だったときのノート』(講談社)など、東大生のノートに関する著書を数多く出版されましたが、なぜ東大生のノートに着目するようになったのですか?

 以前、通信教育のベネッセコーポレーションで、学生向けの小冊子を編集していました。その本の特集企画で東大生を取材することになり、そのとき皆さんにノートを見せてもらったのですが、まず、どのノートもとても美しく書かれていることに驚きました。
 東大は受験科目が他校より多いため、受験勉強にとても時間がかかります。ですが、彼らのノートは非常にきちんと書かれていて、とても時間をかけて書いたノートだという印象を受けました。ただでさえ試験勉強に時間がかかるのに、なぜこれだけ美しいノートを作れるのか。それが、私にはとても不思議に思えたのです。

 そこで、東大生のノートを100冊集めて、その謎を解こうと思い立ったのが、そもそものきっかけです。

──ノートを調べてみて、その謎は解けましたか?

 はい。つまり、ノートをきちんと書くことが一番効率的な勉強法だったんです。

──一番効率的な勉強法! ノートをきれいに書くことが、ですか?

 効率よく勉強するには、授業をきちんと聞き、その内容を理解すればいいのです。授業中に理解できていれば、自宅でもう一度勉強し直す必要はないと東大生は言います。

 中学生になると、定期テストが始まります。授業を理解し、そのことをきちんとノートに記録していれば、ノートを見返すだけで授業内容が思い出せます。
 そこで東大生は、テストを受ける前にノートを見返す自分を想像し、どう書けば分かりやすいかということを考えながらノートを作りました。これが、目的意識を持ってノートを書くということです。

 最近は、そういうことを教える塾も増えてきています。自分では気づかないことだから、塾の先生が教えているんですね。ですが、東大生は、早くから自分でそのことに気づいていました。そこはやっぱり、さすがだなあと思います。