──太田さんは、『東大合格生が小学生だったときのノート』(講談社)など、東大生のノートに関する著書を数多く出版されましたが、なぜ東大生のノートに着目するようになったのですか?
以前、通信教育のベネッセコーポレーションで、学生向けの小冊子を編集していました。その本の特集企画で東大生を取材することになり、そのとき皆さんにノートを見せてもらったのですが、まず、どのノートもとても美しく書かれていることに驚きました。
東大は受験科目が他校より多いため、受験勉強にとても時間がかかります。ですが、彼らのノートは非常にきちんと書かれていて、とても時間をかけて書いたノートだという印象を受けました。ただでさえ試験勉強に時間がかかるのに、なぜこれだけ美しいノートを作れるのか。それが、私にはとても不思議に思えたのです。
そこで、東大生のノートを100冊集めて、その謎を解こうと思い立ったのが、そもそものきっかけです。
──ノートを調べてみて、その謎は解けましたか?
はい。つまり、ノートをきちんと書くことが一番効率的な勉強法だったんです。
──一番効率的な勉強法! ノートをきれいに書くことが、ですか?
効率よく勉強するには、授業をきちんと聞き、その内容を理解すればいいのです。授業中に理解できていれば、自宅でもう一度勉強し直す必要はないと東大生は言います。
中学生になると、定期テストが始まります。授業を理解し、そのことをきちんとノートに記録していれば、ノートを見返すだけで授業内容が思い出せます。
そこで東大生は、テストを受ける前にノートを見返す自分を想像し、どう書けば分かりやすいかということを考えながらノートを作りました。これが、目的意識を持ってノートを書くということです。
最近は、そういうことを教える塾も増えてきています。自分では気づかないことだから、塾の先生が教えているんですね。ですが、東大生は、早くから自分でそのことに気づいていました。そこはやっぱり、さすがだなあと思います。