女性にフォーカスすることはビジネスに直結している
ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、多用な人材を生かすことが経営戦略の一つだ。性別や国籍、身体障害があるかないかなどでは区別をしない。
「それは、会社を取り巻く環境がどう変わっても、フレキシブルに対応し、企業として生き残っていくため」と、同社のHR Operationsディレクタ―の大島恵美さんは言う。
同社は、ハンドクリームやベビーローション、バンドエイドといった一般消費者向けの衛生用品や、医療機関向けの糸や針、内視鏡器具などの医療機器を扱うグローバルな「トータルヘルスケアカンパニー」。商品を購入する客の多くは、家庭における〝母親や妻〟であり、家族を病院に連れていくのも彼女達だ。
また、医療機関で働く看護師は女性が多く、現在、医学生の半分が女性であることを考えると、将来的には女性医師も増加することが予想される。「こうした状況の中、女性の視点を重視することは不可欠。女性にフォーカスすることは、ビジネスに直結している」(大島さん)
成果主義が根付いているから多様なスタイルで働ける
同社のダイバーシティプログラムは、「女性の積極的雇用」「キャリア育成・環境整備」「諸制度による支援」を基本的枠組みとしている。多用な視点を取り入れて女性を積極的に採用し、育成することに力を注いできた。女性が働き続けやすい制度の導入はもちろん、社員がどのような制度を必要としているのかよく調べ、新しい制度は必ずパイロット導入することで、きちんと機能するのか、問題点は何かを考える。
具体的には、子育てする社員に年間30万円を給付する「チャイルドケア支援金」、配偶者出産時の「有給育児休暇制度」などが設けられている。また、「フレキシビリティSOHO Day」制度によって、会社に出社しなくても仕事ができるなど、産後の社員が復帰してきちんと働けるためのシステムを整えた。こうした、「家か会社か」「仕事時間が長いか、短いか」にとらわれない働き方は、社内に成果主義が根付いているからこそ実現できるといえる。