毎日いろんなものを食べる「食の浮気」がリスク分散に

垣田 食品には表示があるものもあれば、無いものもありまして。例えば、レストランでの外食もそうですし、加工食品ですとベーカリーのパンやデパ地下のお総菜にも表示が無いことが多いです。コンビニやスーパーの菓子パンよりも、ベーカリーのパンのほうが価値あるように感じてしまいがちですが、実は表示があるもののほうが、どんな原材料を使っているのか、期限はいつまでなのかが分かるので消費者には親切なんですね。

hitomi 確かに! 特に表示については気にしていませんでしたが、言われてみると……。ちなみに、私もたまにデパ地下のお総菜を利用するんですけど、手作りのものと比べると塩分が強くて、体になじまない感覚があります。そうなると、やはり手作りがベストなんでしょうけど、忙しいとそうばかりは言ってられず。

垣田 そうしたお総菜なども「たまに」ならいいと思うんですよね。私が皆さんにお伝えしているのは、「食の浮気をしなさい」ということなんです。毎日、同じものを食べ続けると、栄養的にも偏りますし、同じ種類の添加物や塩分などの摂取量が増えて、健康に影響を与えるリスクが高まります。

 健康にいいと言われているものでも取り過ぎはよくないんです。同じものではなく、日々異なる料理、異なる食品を取っていくことでリスク分散につながります。

hitomi なるほど。娘はパンやバターが大好きで、毎日でも食べたいと言うんですね。バターなんて気づくと大量に塗っていて、「何やってんの~!」と怒る始末です。なるべくごはんとか、和食も食べてもらうようにしているんですけどね。

垣田 hitomiさんは、ご家庭ではどんなお料理を作られるんですか?

hitomi そうですね……。マカロニグラタンとか娘から「作って~!」とせがまれると、たまに作ったりしますが、基本的にはスーパーに行って、その日自分が食べたいものや家族が食べたいだろうなと思うものを作っていますね。

 子どもがいると、つい子どもが喜びそうな洋食をメインに作りがちなんですけど、大人が食べるような小松菜の煮浸しとかシンプルな和食にも触れさせるようにしています。なるべくいろんな料理に触れて、体験して、味わってほしいと思っているんですよね。

垣田 幅広い料理に触れることは食の安全面や栄養面だけじゃなく、心を豊かにしていくという食育の面でもとってもいいことですね。hitomiさんのお子さんは幸せだと思いますよ。

hitomi そうでしょうか、ありがとうございます。もともと食に関しては、ガチガチにこだわるタイプではないのですが、今日先生のお話を伺って毎日の食べ方や調理の仕方に注意すれば、それほど不安に思うことはないのだと分かり、安心しました。「食の浮気」を心がけながら、子ども達と毎日の食事を楽しみたいと思います!

 ――続く後編では、「良い野菜を自分で選べるようになるためのコツ」について、野菜の専門家にhitomiさんがインタビューします。

垣田達哉
消費者問題研究所代表。食品問題評論家。食品表示アドバイザー。放射能汚染、中国食品、BSE、鳥インフルエンザ問題など、食の安全や食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、雑誌、新聞、講演などで活躍。日本テレビ「世界一受けたい授業」にも出演。食品表示問題を中心に、消費者が見落としがちな食の安全に関する真実について、分かりやすく説く。『選ぶならこっち! 食べて安心な食品の見分け方』(WAVE出版)、『みんなが気になる食の安全55の疑問』(SBクリエイティブ)など著書多数。

hitomi
1976年生まれ。1994年にデビュー。歌手活動やモデル活動、TV出演の他、美脚商品やヨガウエアのプロデュースも行っている。「美脚キュッ+骨盤ケア」(びきゃっきゅぷらす)、animaとの第3弾コラボヨガウエアは現在好評販売中。育児セラピストの資格を取得。現在2児の母。詳しい情報はオフィシャルブログ「Love Life」をチェック。

(文/伯耆原良子 写真/有本真大)