加工食品は原材料の産地まで表示されない

hitomi 食品表示で前々から気になっていたのが「消費期限」と「賞味期限」です。これって詳しくはどういう意味なのでしょうか?

垣田 「消費期限」は保存が利かない食品に表示されているもので、その期限が過ぎたら食べないほうがいいもの。「賞味期限」は比較的保存が利く食品に表示され、安全性や味や風味など品質が維持される(おいしく食べられる)期限のことなんですね。期限が多少過ぎていても、色やにおいや、ちょっと味見をして問題がなければ食べられます。昔の表示は「製造年月日」だったので、当時の消費者は色やにおいで食べられるかどうかを判断していました。今の若い方のほうがその感覚は鈍くなっているかもしれませんね。

 食品の腐りやすい原因は温度変化なので、扉の開け閉めをせずに冷蔵庫に置いておけばかなり日持ちはします。今の冷蔵庫では、卵は温度変化が大きい扉付近ではなく、中のほうに引き出し型で収納できるようになりましたよね。

hitomi ウチは扉付近に卵を置いてあります……。今日から奥に入れるようにします。

垣田 卵の消費期限は「生食期限」なので、加熱すれば期限が過ぎたものでも大丈夫ですよ。僕なんて1カ月経ったものでも食べますからね。卵は割ってみて、黄身の盛り上がりがベタっと減っていなければ大丈夫です。

hitomi 消費期限、賞味期限を参考にしながらも、食品を実際に自分の目や鼻や舌で確かめる、というのは大事かもしれませんね。

垣田 食品の表示についてさらに詳しくお話ししますと、hitomiさんが店頭でチェックしている「産地」の表示は、生鮮食品の場合、“収穫した所や一番長く育った所”です。でも、加工食品の場合は“製造した所”が産地として表示されるんです。

hitomi 加工食品だと、原材料が育った産地までは分からないということですね。

垣田 そうなんです。そこで、この問題を解決するために、加工食品の原材料が育った場所を表示する「原料原産地表示」がなされるようになったんですが、対象商品は梅干しなどの漬物、干物、ウナギのかば焼きなど、ごく一部の商品だけで、すべてに義務化されているわけではないんです。

 ただ、加工食品で国産の原材料を使っている場合は、「国産○○使用」とわざわざ書いていることが多いので、逆に原材料の産地表示が無い場合は、輸入原料を使っている可能性が高いとも言えます。

hitomi なるほど、なるほど。

知っておきたい生鮮食品、水産物の表示ルール

垣田 生鮮食品の表示でも気をつけて見ていただきたいことがあります。カット野菜ミックスの農産物や、牛・豚肉の合挽き肉など、2種類以上の生鮮品がミックスされている商品がありますよね。その場合、重量割合が50%以上のものに「原料原産地表示」が義務付けられています

 例えば「国産牛豚合挽き肉」と表示されていたら、普通は牛も豚も国産だと思ってしまいますが、もしかすると割合の多い牛肉だけが国産、という場合もあるんですね。その点も消費者の知識として頭に入れておくといいと思います。

hitomi それは先生にお聞きしなかったら、分からなかったです。

垣田 水産物について少しお話ししますと、もし売っている魚が生ものなら、必ず「名称(魚の名前)」と「産地」が表示されることになっています。産地の表示が無い場合、その魚は「加工品」です。例えば、刺し身やマグロの中おちも加工品の場合があります。もし生ものでないなら、原則として「解凍」の表示が、天然ものでなければ「養殖」の表示がされないといけません。選ぶ際のポイントにしてみてください。

hitomi お魚とひと口に言っても、いろんな作られ方がありますね。そうした表示の仕組みも理解した上で購入したいですね。消費者として、一つ賢くなった気がします。