母の言葉が最強の薬。ミス・ユニバースの勝利も得た

―― ミス・ユニバース世界大会での優勝は厳しい選考を経ての勝利でした。最後の審査の質疑応答では「幼いころに学んだことで、今も自分を支えていることは何ですか?」という質問を投げかけられました。

 質問を受けて私の口から出たのは、リハーサルで練習したものとは別の、その瞬間に頭に浮かんだ言葉でした。心からの言葉だったと思います。「私はダンスを、幼いころから母の下で続けています。母をはじめ、たくさんの先生方やダンサーから学んだことは、常にハッピーでいること、我慢強くいること、ポジティブでいることです。そして、私はこれらのことを次の世代の子ども達に伝えていきたいです」と答えました。

―― つまり、ミス・ユニバースで優勝できたのも、お母さんからの教えが大きかった?

 間違いなくそうですね。そして、ミス・ユニバース2007として活動した14カ月間も、母からの教えを大切にしました。ミス・ユニバースになると、移動はファーストクラスやVIPカー、パーソナルスタイリストがいてくれるなど、生活環境が整えられます。スポンサーから高価な洋服や時計がいただけますし、確かに華やかな面はたくさんあります。

 一方で、仕事の8割はチャリティー活動。自分が行動することによって、どれだけ他者に貢献できるのかということを常に考えなければならない職業です。私は主にHIV/AIDSのスポークスウーマンとして世界中で啓蒙活動を行ったのですが、相手が求めていることを察知して行動しなければならないという面では、家庭で教わったことが大いに生かされたと思います。

 また、ミス・ユニバース任期中は分からないことばかりで、どんなこともありがたく聞かなくては、という思いでアドバイスを吸収していきました。そこにも、母から子どものころ、「先生の教えをしっかり聞くのよ」と再三たたき込まれ、学ぶ姿勢ができていたのが生きたと思っています。

―― お母さんの教えを本当に素直に吸収されているんですね。反抗したり、うるさいと思ったりすることはないのですか?

 もちろん、親子ですから「また言ってるよ」って思うこともありますよ。母はカフェに行っても買い物に行っても格言ばかり。昨日も何か言われたんですけど、たくさん言われ過ぎて、忘れてしまいました(笑)。ただ、自分が元気なときは食傷気味になりますが、ちょっと気分が落ち込んでいるときには母の名言がよみがえって、心にじわじわ効いてくるんです。だから、何だかんだ言って最強の薬だと思っています

 最近のヒットは、「人を信じなさい。でも人を頼ってはいけない」。これは祖父から伝わっているものらしいです。

ミス・ユニバースの栄冠を射止めたときも、ミス・ユニバースの任期中も、母の教えが支えだった
ミス・ユニバースの栄冠を射止めたときも、ミス・ユニバースの任期中も、母の教えが支えだった