世界80カ国以上の代表が参加して世界一の栄冠を競い合う美の祭典、ミス・ユニバース。容姿の美しさだけではなく知性・感性・人間性・誠実さ・自信なども選考基準とされ、世界に通用する外見・内面を兼ね備えた美女が選ばれる式典です。その2007年度の世界大会で優勝をしたのが、当時20歳だった森理世(もりりよ)さん。「理世ちゃんにこの世で一番大きなミスコンテストに出てほしいな」という祖母の言葉に影響を受けてチャレンジ。日本人としては2人目、48年ぶりの優勝で大きな話題となりました。

 ミス・ユニバース2007として約14カ月活動した後、森理世さんはモデルとして美と健康の啓蒙活動やチャリティー活動を続けつつ、ダンススタジオでお母さんと一緒にダンスの講師を務めています。その職場の“上司”でもあるお母さんは、仕事も子育てもバリバリ、というよりもノリノリでこなす最強の女性のようです。産後2カ月で職場に復帰して踊り続けてきた母を、理世さんはどんなふうに見てきたのでしょうか。

音楽がガンガン鳴り響くスタジオで育った

華やかさを身にまとう森理世さんだが、森母娘を知る人に言わせると、色に例えるなら理世さんは「淡いパステルカラー」、お母さんは「情熱の赤」とのこと
華やかさを身にまとう森理世さんだが、森母娘を知る人に言わせると、色に例えるなら理世さんは「淡いパステルカラー」、お母さんは「情熱の赤」とのこと

日経DUAL編集部 森さんのお母さんは自宅の1階にスタジオを持ち、ダンススクールの先生として活躍。森さんがおなかにいるときも2度舞台に立ち、産後2カ月で職場に復帰したそうですね。

森理世さん(以下、敬称略) はい。母は私の首が据わったころから赤ちゃん用のカゴに私を入れ、音楽がガンガンかかっているスタジオに置いて私を育てました。他の家庭で母親が料理をするのが当たり前のように、私にとっては母が踊るのも働くのもごく当たり前なことでした。

 以後、ずっと「お母さんと一緒にいたかったら、ここで静かにしていなさいよ」と言われて育ったので、騒いでスタジオを走り回ったり泣いたりして母を困らせる、ということはなかったみたいです。母と一緒にいたかったら、言うことを聞いていたんですね。

―― お母さんがダンスを教える姿を黙ってじっと見ている……小さい子なら集中力が切れてしまいそうです。

 母が仕事をしている姿を見るのがとても楽しかったんです。きれいな格好をした大人達がいっぱいいて、何かに真剣に取り組んでいる姿はキラキラして見えた。その空間に一緒にいられるというだけでワクワクしました。だから少しも苦ではなかったです。

 加えて、私が静かにして見ていると、たくさんの大人が「えらいね、えらいね」って頭をなでてくれた。単にきれいな人に褒められたかったのもあるかもしれません(笑)。