流産の8割は染色体異常が原因ですが、妊娠しても流産や子宮内胎児死亡などを繰り返し、出産に至らない「不育症」という症状が原因の場合もあることは、前回の記事でお伝えしました。不妊治療と同様、不育症治療にも多額のお金がかかります。通常、1回の妊娠・出産でかかる費用が平均で約60万円のところ、不育症の人は妊娠判明から出産直前までの長いスパンでの治療になるため、平均で約104万円、ヘパリン自己注射をしている人では約122万円という調査結果も。その多くは自己負担での治療になるため、金銭面がネックとなって赤ちゃんを諦めてしまう夫婦もいるといいます。

 今回は、不育症への理解や治療の公的支援を求めて活動しているボランティア団体「不育症そだってねっと」代表の工藤智子さん(39歳)のインタビューをお届けします。

血液が固まらないよう管理しながら、2人の子どもを出産

日経DUAL編集部 工藤さんも流産の経験をお持ちなんですね。

工藤智子さん(以下、敬称略) はい。2回流産を繰り返し、かかりつけの産院に紹介状を書いてもらって不育症専門外来を受診しました。検査をひと通り受けたところ、血液を凝固させる抗体を持っていることが判明しました。次に妊娠したときは、血液が固まらないよう一日2回のヘパリン自己注射と低用量アスピリンで管理をすることで、無事、第一子を出産することができました。第二子も同様の治療で出産。子どもは現在、9歳と5歳です。

―― 検査や治療にはどれくらいの費用がかかったのでしょうか?

工藤 初めに行う血液検査や子宮形状検査は保険適用外です。検査項目は医療機関によって異なるので費用も変わりますが、私の場合は7万~8万円、注射と飲み薬は毎月2万~3万円でした。さらに、4週間に一度の通常の妊婦健診に加えて、不育症専門病院の妊婦健診も月に1~2回のペースであり、1回につき1万円かかりました。

―― 治療に保険はきかなかったのですか?

次ページから読める内容

  • 保険が適用されるのは不育症患者全体の5%のみ
  • 不育症相談窓口は増えたものの、助成金を制度化した自治体はまだ少数

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