「理想の夫像」に男性も葛藤。イメージとは適度な距離感を

 「理想像と現実の矛盾」について、日本にも同じ問題がある、と田中さんが指摘します。

田中 日本人男性も、理想と現実の狭間で苦しんでいます。「イケダン」という言葉をご存じですか? 仕事をバリバリこなして家事・育児もできて、その上イケメンな男性のことです。(会場、爆笑)。理想を掲げるのは大事なことですが、現実に即さないイメージにとらわれすぎると男女ともに生きづらくなってしまいます。

 近年の日本では全般的に男性の年収が下がっているにもかかわらず、「男は一家の大黒柱であるべき」という規範は昔のままです。「男がリードして女がリードされるべき」というイメージも日本社会に定着している感がありますね。それらは、どこに明文化されているわけでもないのだけれども、確実に私たちの社会を覆い、ときに私たちを苦しめます。男女とも幸せに生きられる社会にするためには、このイメージとの適切な距離感、向き合い方を考えてみるべきだと思います。

 それから、男性ももっと自分の問題として認識していかないと。今日、この会場には男性が数人しかいませんが・・・。人口の半分が無関心では問題解決に至りません。妻と夫、どっちが大変だ、という議論ではなく、両性が手を取り合っていかないといけないですね。

 いかがでしたでしょうか。最後は、フィンランドの離婚率に関する興味深い話で締めくくりたいと思います。イベントを主催したフィンランドセンターの所長、メリヤ・カルッピネンさんのクロージング・トークです。

「フィンランド人はたくさん離婚するから幸せなのかも・・・」

メリヤ・カルッピネンさん ある日本人が、不思議そうに私に尋ねたことがあります。「フィンランド人を見ていると誰もがとっても幸せそう。それなのに、なぜ離婚率が高いの?」と。それで考えてみたのですが、もしかすると、たくさん離婚するから幸せなのかもしれません。なぜならパートナーシップというのは大変重要なものですから。結婚して、もしも幸せでなければ離婚という選択をする、だから幸福度が増すのではないかと。フィンランドは母子家庭・父子家庭のこともサポートする社会ですしね。…などなど、気になる話題はたくさんありますので、今後も日本の皆さんと様々なテーマでディスカッションを続けていきたいと思っています。フィンランドセンターが主催するセミナーに、これからも是非期待してください。


メリヤ・カルッピネンさん

 メリヤさんの言葉通り、今後もフィンランドと日本のクロストークに期待したいと思います。

(取材・文/星野ハイジ)