イベントにはフィンランドと日本から総勢5人のスピーカーが登壇しましたが、その中から、エイヤ・セヴォンさん(フィンランド ユヴァスキュラ大学教育学部長)、三砂ちづるさん(津田塾大学国際関係学科教授)、田中俊之さん(武蔵大学社会学部助教)のお三方の話を抜粋してお届けします。
「お母さんにやさしい国」フィンランドはどうやって生まれた?
国際団体「セーブ・ザ・チルドレン」が発表した「お母さんにやさしい国ランキング(母親指標、Mother’s Index)」で、フィンランドは世界2位の評価でした(日本は32位)。そんな「お母さんにやさしい国」はどうやって実現したのでしょうか?フィンランド社会から日本が学べることは、どのようなことでしょうか。
エイヤ・セヴォンさん(以下、敬称略) 母になる、という視点でみたとき、フィンランドはとても恵まれた国です。母親を含め、男女ともにフルタイムで働いている共働き社会であり、育児をしながら働くための制度も整備されています。育児休暇に加えて、夜間保育が利用できること、子どもが病気の場合に3日間の看護休暇をとる権利が法律で定められていることなどが、その例です。
なぜこのような社会が実現できたかというと、男女平等というものを国が重視して推し進めてきたからです。男性にも父として家事・育児に関わる権利と責任がある、ということを国が明確に示し、推進してきました。
夫婦間の家事分担の口論で終わらせない
エイヤ 日本をみていると、夫婦関係や男女平等というのは、労働市場全体を変えないとだめですね。政策決定者に対して変更を求め、体制を変えていくことが必要です。夫婦間の家事分担の口論で終わらせる問題ではありません。