スマホやSNSに関わる事件を取り上げて、ネットとの関わり方を親子で考える連載「要注意! 子どもスマホ事件簿」。今回のテーマは「スマホ使用時間が及ぼす影響」です。ある調査によると携帯電話・スマホの利用時間が長ければ長いほど学力テストの正答率が下がる傾向にあるという結果が……。

 「うちの子、スマートフォンに夢中になりすぎてしまうんです」という話はよく聞く。スマートフォン利用には子ども達にどのような影響があるのだろうか。悪影響はないのだろうか。

 日々、日本中で様々なスマホ・携帯電話やSNSがらみの事件が起きている。DUAL世代も例外ではない。当連載では、新聞で見つけた実際の事件を取り上げ、そこから学ぶべき教訓を考えていく。子どもとの話題のきっかけとしてご利用いただければ幸いだ。

スマホの長時間利用で睡眠不足、就寝時間も遅くなる傾向に

 今回取り上げる記事の一本目はこちら。


◇日本経済新聞 「睡眠不足」高校生の3割 文科省が初調査
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28HC6_R00C15A5CR0000/

◇記事のポイント◇
○2014年11月の文部科学省による睡眠と生活習慣に関する調査で、高校生の3割、中学生の2.5割が睡眠不足と判明
○小中高生とも、携帯電話やスマホを使ってメールやインターネットをする時間が長いと登校前日の就寝時間が遅くなる傾向。「2時間以上3時間未満」利用する小学生は、0時以降に就寝する割合が17.1%だった

 文部科学省が「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」を発表した。詳細はこちらで読むことができる。

 記事に書かれている以外にも気になる結果が発表されている。たとえば、寝る直前まで各種の情報機器(テレビ、ゲーム、携帯・スマホ、パソコン等)に接することがよくある子どもほど、朝、布団から出るのがつらいと回答する割合が高い。これは小中高生すべてで見られる傾向だ。さらに小中学生では、就寝時間が遅い子どもほど、自分のことが好きと回答する割合が低く、なんでもないのにイライラすることがあると回答する割合が高い。

 国もスマートフォンの利用について関心が高く、近年になって様々な調査結果を発表している。たとえば、総務省情報通信政策研究所「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査報告書」によると、スマートフォン利用開始により減った時間は「睡眠時間」(40.7%)、「勉強の時間」(34.1%)などとなっている。高校生の結果だが、保護者としては見過ごせない結果と言えるだろう。

 国立教育政策研究所「平成26年度全国学力・学習状況調査の結果について(概要)」における、平日1日あたりの携帯電話・スマートフォンの使用時間(ゲームを除く)と学力テストの平均正答率との関係も大変興味深い。両者は反比例しており、携帯電話・スマホの利用時間が長ければ長いほど正答率が下がる傾向にあるのだ。

 教育系アプリなどもあり、携帯電話・スマホが一概に悪いというわけではない。しかし、長時間利用することによって睡眠時間や学習時間が減少し、その結果学力が下がる傾向にあることは間違いなさそうだ。適切な利用が大切であり、そのためには保護者の指導や制限が大切となる。

 新聞ではこのような興味深い調査結果がよく記事となっている。親子で気を引き締めるきっかけとして読んでみてはいかがだろうか。