家と保育園の基準が違うのは当然。それが「社会性」というもの

────子どもから、「家ではママは叱らないのに、保育園ではなぜダメなの?」と言われるようなことはなかったです?

 保育園に一歩入ったら、すべてこちらの責任。園を出ればお家でのことは関知しない。それがみどり保育園の方針でした。子どもは、誰に教わらなくとも、家と保育園はちょっと違うと心得ていたんじゃないかしら。

────そう聞きましたのは、わが家のルールではOKだけれど、ほかの母子が関わったとき、そのお母さんの手前「こら!」と叱っていることがあるなと…。子どもは、家と外での統一感がないことに戸惑ったりしないでしょうか?

 家と外で全く同じにはならないのは、“社会性”でしょう。誰しも社会生活を送っているのだから、外に出れば家の方針も少々変化することは当然のこと。遠慮したり、我慢したり。そんなもんですよ、世の中(笑)。

 相手の子どもがどういう子で、どんな考えを持ったお母さんかでも、対応は違ってくるでしょう。相手のお母さんや子どもの個性を無視して言えることでもない。

────家庭内での基準と、外での基準は同じようにはならないと?

 そうですよ。すべてを教科書通りにしようとしても無理。それぞれの育児の方針はあっても、臨機応変、大人の世渡り(笑)。

 子どもだって分かっていますよ。家の中でだって、父親と母親で意見が違い、対応が変わることがあるでしょう。むしろ、父親と母親の意見が別であるほうが子どもに逃げ道があって都合のいいこともある。

 わが家の場合は、3人家族、父、母、息子で三権分立です。誰か2人の間で揉め事やケンカが起きても、もう1人は加勢しないし知らん顔。2人のことは2人で話し合うなりして解決するしかありません。夫と息子が決めたことなら、私は胸の内では違うことを思っていても我慢します。

 3人それぞれが独立していて、尊重されるべき存在であることが大切だと思うんです。