今夏の新情報を加えて紹介した「夏こそ『子どもだけで海外』に挑戦! 2015年版」。この記事の最後に、アクティビティーを通して異文化を体験できる「日本開催の国際交流キャンプ」を取り上げました。

今回はより英語研修に重点を置き、徹底した英語環境の中で英語を聞き、自分でも使ってみる「子ども国内留学体験」をご紹介します。考え抜かれたプログラムや日本人に英語で語りかけることに慣れた講師陣により、英語初心者でも「英語でコミュニケーションする」体験ができ、参加すれば楽しく英語に触れることができます(料金はすべて税込み)。

国内の外国大学に“超短期留学”し、「日本語を使わない交流」を体験

 1982年、東京に開校した日本で最も歴史ある外国大学「テンプル大学」。このジャパンキャンパス 麻布校舎では、毎年夏休みに小中高校生を対象に100%英語漬けのプチ留学体験プログラムを実施しています。小学5・6年生を対象に開催されているのが「日本でできる小学生の国内留学プログラム」。

 英語初心者の小学生や保護者にとって「100%英語の環境の中で何も分からない時間を過ごすのは不安」と感じるかもしれません。でもご安心ください。英語力に応じて初級・中級・上級にクラス分けが行われ、レベルに応じた授業が行われるので大丈夫です。

 初心者といっても今の小学5・6年生は学校で外国語活動の授業を受けていますので、簡単な英語は分かります。日本では外来語が日常的に使われているため、実は大人が思うよりも子どもが分かる英単語は多いのです。講師はもちろん、授業をサポートするテンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)の現役大学生も、初心者の子どもが分かる単語を多く用いてゆっくりと英語を話してくれるので、子ども達は「あ! 英語の話を理解できる!」という体験ができるはずです。 

 今年は「小学校の科目を英語で学ぼう」というプログラムが開講されます。と言っても、例えば「初心者向けの英語による算数の授業」と聞いてもピンと来ない方が多いでしょう。そこで、TUJ「アカデミック・イングリッシュ・プログラム」ディレクターの水沼恵美子博士に、授業のデモンストレーションの一例を教えていただきました。

 まず、子ども達に“What is the next number of five?(5の次の数字は何ですか?)”と問いかけます。ここで“Six.(6です)”と答えられる子どももいるでしょう。でも、みんなが答えられなかったとしたら、先生はこう板書してくれます。

 「1, 2, 3, 4, 5, □」

 そして「□」の上に「next?(次は?)」と先生が書く。英語がよく分からない子でも「“Six”と答えればいいんだ」ということが分かります。

 また、“What is the number between three and five?(3と5の間にある数字は何ですか?)”と先生が言いながら、「1, 2, 3, □, 5」と板書して「between?(間は?)」と書けば、子ども達は答えが“Four”だと分かります。nextやbetweenといった単語の意味が分からなくても、英語だけでコミュニケーションは可能。実は、1, 2, 3, 4……といった数字の英語ではなく、nextやbetweenといった単語を学んでもらうことが狙いです。そういったやり取りを経て、子ども達は自然に英語の語彙をどんどん増やしていきます。

 さらに絵や図形を見たりしながら、triangle(三角形)、rectangle(長方形)などの単語を覚えたりもします。“Let's make a triangle with your fingers!(指で三角形を作ってみよう)”と促されて、自分の指を動かせばtriangleという単語を身体的に理解することもできます。そういったアクティビティーを繰り返しながら、小学生が馴染みやすいトピックで、楽しく英語を学んでいきます。

 「『英語で話しかけられて、ちゃんと答えられた。英語が分かった!』という喜びは、子ども達にとって、とても大事な経験」と水沼博士は言います。例年、参加者から「一番感じたのは英語の楽しさでした」「英語が大好きになりました」「来年もまた参加したいです」との声が挙がるそうです。

 より深いディスカッションが行われる中・上級クラスの参加者からも同様の感想が挙がり、子ども達の英語に対する意欲が飛躍的に高まる様子は明らかです。

昨年の開講式の様子。初・中・上級に分かれ、各クラスに講師1人と留学生などの学生アシスタント2人が割り当てられている
昨年の開講式の様子。初・中・上級に分かれ、各クラスに講師1人と留学生などの学生アシスタント2人が割り当てられている