これまでのベビーシッター派遣サービスや行政のサポートとは異なる、新しい形態や仕組みのサービスが次々と登場しています。前回の記事で紹介した新発想の助け合い子育てネットワーク「AsMama」に続いて、今回はフェイスブック経由のシッター紹介サービス「キッズライン」と、学生教育プログラムの一環としての子育て支援サービスが注目を集める「スリール」をご紹介します。

■2020年6月15日追記:キッズラインに登録していたシッターによる、幼い子どもへの強制わいせつ容疑での逮捕が相次ぎました。こちらの記事をご確認ください

【これまでの特集記事】
1. 保育園お迎えのアウトソーシングは「自分への投資」
2. シルバー人材センターとファミリーサポートの活用法
3. シッター会社サービス比較 どこまでお願いOK?(有料会員限定記事)
4. シッター会社の利用で気になる「人」やトラブル(有料会員限定記事)
5. 低価格で気兼ねのない頼り合い子育て、AsMama

ITを使って、安く早く安心できるベビーシッターの文化をつくる

 SNSのフェイスブックを活用したシッター紹介サービスが登場した。1時間1000円~と驚くほどの低価格と当日予約を実現する「キッズライン」を今年2月に立ち上げたのは、当時最年少上場女性社長としてトレンダーズを東証マザーズに上場させた経歴を持つ、カラーズ代表取締役社長の経沢香保子さんだ。

 「利用者の登録もシッターさんの予約も、すべてがネット経由なので、この低価格に抑えられています。急に誰かに頼りたい状況になったとき、ネット上でシッターさんのスケジュールを確認し『今日お願いします』と依頼してすぐに返事がもらえる。これがITならではのスピード感だと思います」(経沢さん)

 低価格に抑えつつも、「預ける安心感」は最優先事項だ。現在登録している60人ほどのベビーシッターはすべてキッズラインが直接面接して合格を得た人達。中には結婚や出産で仕事を辞めた保育士もいる。また、フェイスブックでつながる自分の友達の誰がどのベビーシッターを利用したのかが分かるようになっており、例えば信頼する友達のAちゃんがBさんというシッターさんにお願いしたと分かれば、Aちゃんの『Bさんはいい人だったよ』の言葉は一つの安心材料になるだろう。

 利用が多いのは「保育園や学童に子どもを迎えに行って自宅で待機」「小学校から民間学童や塾への送り」などのケース。保育園児~12歳くらいまでの小学生がいる家庭が利用しているという。

 「心配な方には『お試しシッティング』というサービスもあります。4~5人のシッターさんに1時間ずつだけ頼んで、子どもとの相性を見ることができるんです。その後、2人くらいに絞って利用している方もいらっしゃいます」

 基本料金の他には、万が一の保険料を含む10%の手数料とシッターさんの交通費が別途かかる。料金はベビーシッターが経験や保育内容によって自分で決めて提示する仕組みだ。

 利用の流れはこうだ。

●フェイスブックアカウントから申し込みをすると(免許証提示などで住所などの本人確認あり)、運営から承認のメールが届いて会員登録が完了。キッズラインが抱えるベビーシッターの情報は見やすい一覧になっている。シッターを選んで写真をクリック。

●シッターの紹介ページで、運営側のコメントや料金、子育て経験などの情報、空いているスケジュールを確認できる。実際に利用した人がシッターについてどんな感想を持ったかのレビューも参考になる。各人の得意分野を確認できるので、英語が得意な人、コンピューターのプログラミングを教えられる人、医学生など、様々なタイプから選ぶことができる。「普通のベビーシッターというよりも、家庭教師に近い感覚かもしれません」

●「この人にお願いしたい」と思ったら、予約リクエストフォームから直接依頼。シッターから見積もりが届き、条件が一致していれば承認ボタンを押して予約が成立する。希望により、事前面談も相談できる。支払いはサービスの完了後にクレジットカードや銀行振り込みで行う。

 キッズラインのサービスは始まったばかりだが、現在は月に300~400人のペースで会員登録があり、1日10~40件程度の利用があるという。利用前には利用者の審査もあり、自宅住所と身分証明書の住所の確認が必要となる。一度利用すると、次回はスマホからでも簡単にログインでき、リピートしやすい。現在は関東エリアで利用が可能だ。