御三家校長が語る、今の子ども達に必要なのは「生活力」

 次に、本郷・北原校長から「男子校として課題としていることは?」という質問が投げかけられた。

 武蔵・梶取校長は「子どもたちだけでなく、大人も含めて日本社会が抱えているのは“なんとなくの不安”。右肩上がりの成長期は終わり、今までの枠組みでうまくいっていたことがうまくいかない。そんな時代にどこまで柔軟な思考ができるか。もちろん、知識を得ることは大事だが、想定外のことが起こったときにどう対応できるか、という力を培うことが必要と感じている。また、都会に暮らす、今日出席している保護者の方や子ども達は恵まれた環境にある。先入観なしに世の中全体をどうやってより良くしていけるか、という視点も持ってほしい」と言う。

 麻布・平校長は、「知識だけではだめ、という意見には全く同感。20年前、オウム真理教のサリン事件があり、実行にあたった人の職業が、立派な医師であったり、弁護士、科学者など知識を持っている人たちであることに衝撃を受けた。勇気や人に対する思いやり、そういったものを集団において異年齢の生徒たちと接することによって培っていけるといい」と話す。

 開成・柳沢校長は「学校だけではできないのが、生活力を養うこと、という。子どもに密着した子育ては中学に合格した日に卒業していただき、親がいなくても生きて生活していくことができる生活力こそ身に付けてほしい」と話した。

 3人の校長から繰り返し出た言葉は「子どもに失敗を経験させる」という大切さ。子ども達は、それぞれが何か小さなことを乗り越えるたびに自己肯定感を身に付ける。いろいろなことに挑戦させ、どんどん失敗させ、「できた」という瞬間にしっかりほめる。反対に、いつも失敗させまいとあれこれ手出し口出しし、「また悪い点をとった」と怒っていると、子どもは萎縮し、自己肯定感を身に付けることができない、という言葉が沁みた。

 校長達の軽妙なトークに参加者からは笑いがあふれたが、最後は深くうなずく人、真剣にメモを取る保護者の姿があった。

在校生が解説! 「男子の本音、男子校はこんなところ!」

 男子中フェスタ参加校の中から、各校の生徒1名が代表となり公開討論を繰り広げたのが「在校生によるパネルディスカッション」。午前中に行われた「Aグループ」では、足立学園、攻玉社、芝浦工業大学、聖学院、高輪、獨協、本郷の7校が出そろった。テーマに沿って、在校生がホンネを語っていく。

男子中高生のみなさん、しっかりした受け答えで感心!
男子中高生のみなさん、しっかりした受け答えで感心!

Q1 どうして男子校を選んだの?

足立学園 「女子は怖いからです。小学生のときに、女子をからかうと泣いちゃったり、周囲の女子からネチネチ言われたりして(笑)。母親にすすめられて男子校に入りましたが、女子との関わりがなくなり、もっと怖くなってます」

聖学院 「もともとは共学希望だったのですが、兄が通っている男子校の文化祭に行くと、共学よりもすごく盛り上がっていて活気があったので男子校希望に。ただ、兄から『女の子の友達がいなくなるから気をつけろ』と。みなさんも今のうちに、作っておいてください(笑)

高輪 「僕も文化祭が楽しかったので、この学校に入ろうと決めました。男子だけでワチャワチャしてるのは楽しいけれど、今思えば女子がいたほうが…と思ったりもしますね

本郷 「男って女性が好きなんです。僕も好きですけど、でも、怖い。よく女子のほうが精神年齢は2歳ぐらい上、なんて言いますが、こっちがわー!とはしゃいでも女子には『何してんの』と言われたりしますね。男子同士では同じ性別なので分かり合えます

男子高生の飾らないトークに、参加者も笑いが絶えません
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