やっぱり男子は鉄道が好き? 男子中ならではの部活動

 「これは負けないわが校のクラブ活動 Part.1」では、日本大学豊山・獨協・高輪の3校が部活動についてアピールした。獨協中は男子校で珍しく演劇部があり、この夏には韓国ソウル市で招待公演も行うそう。アクションや笑いの要素たっぷりのオリジナル劇を作り上げているという。

 また、3校が盛り上がったのは男子校らしい「鉄道熱」。

 「中1のときはひたすらカッターでまっすぐな線を引く練習をし、その技術をもとに玄人はだしの鉄道模型を作り上げてコンクールに出品する。鉄道などマニアックすぎることでも男子校だから集中でき、まわりも評価してくれる良さがある」(日本大学豊山)「年3回の合宿では予算を生徒が決め、部員全員でプランを出して投票で一位になった旅行をしている」(高輪)など、楽しそう。

 小学校時代は鉄道や模型が好き、と言うと女子からオタク呼ばわりされていた男子でも、男子校なら仲間に会えて共感しあえるからうれしい、という生徒の声が多いようだ。男子校というと熱血スポーツ部のイメージがあったが、こつこつと好きな分野の趣味に打ち込む楽しみもあることを知った。

「これは負けない わが校のクラブ活動Part.1」の録画風景
「これは負けない わが校のクラブ活動Part.1」の録画風景

海外研修で男子中学生はどう変わるか?

 聖学院・京華・世田谷学園の3校の教師は、「海外研修で一番おもしろかったのはこれ!」というテーマで盛り上がった。

聖学院の中学3年生時の海外研修先(希望制)は、なんとタイの山岳少数民族の集落。麻薬や育児放棄によりコミュニティーが壊れている集落の自立支援プロジェクトを校長が立ち上げ、現地の施設に毎年交流に出かける。

 「会話は英語、日本語、タイ語、あと少数民族アカ族のアカ語。研修中には、高床式の茅葺きの住居に3人1組で一晩泊めてもらう。電気もない暗がりでいろりを囲みごはんを食べ、話すこともなくなると歌を歌ったり。言葉の壁、食べ物の壁を越えると子どもたちは確実に変わる」(聖学院)

 京華は夏休みを利用してオーストラリアのクイーンズランド州に海外研修に出かける。「参加の動機が、現地の女の子の友達を作ってみたい、という子も(笑)。つたない英語で『友達になってくれないか』と話しかけている姿がほほえましい。保護者からは『行くときには小動物のように緊張で震えているのに、帰ってくると天下を取ったようなえらそうな顔をしている』という声も」

 世田谷学園は、高1のときにカナダのビクトリアに全員が英語研修に出かける。「地域ぐるみで受け入れてもらっているので、孫が来た、みたいな感じでかわいがってくれ、一緒にテレビを見たり散歩をしたり。だいたい別れの時には抱き合って、ホスト側のお母さんが泣いてしまったりする。そういうシーンを見ると引率の疲れも吹き飛びますね」

 

 意外だったのが、任意の海外研修の場合、本人はあまり行きたがらず保護者が強引に参加させる、というパターンが多いということ。

 この世代の男子はシャイで、大きな環境変化を好まないのかも。それでも、現地の女子生徒と淡い恋が芽生えたり(ふだん女子に免疫がないぶん、別れのときには泣いて悲しがる子もいるそう)、現地の先生に「キミは素晴らしい!」と褒められて自己肯定感を高められるのが異文化交流の醍醐味だそうだ。

■参考  この日行われた公開ライブトークは、全7回分を以下のサイトから見ることが出来る(会員登録が必要)。

「プレジデントファミリークラブ 東京私立男子中学校フェスタ2015 録画版公開中」

(取材・文/柳本 操)