男子校「じっくり自信を育てる」 女子校「社会の即戦力となる行動力を育てる」

 まず、今回の特別企画「そもそも、男子校、女子校という別学の良さって何なの?」。男子校2校(本郷・京華)、女子校2校(東京女子学園・豊島岡女子学園)のトークは、まず各校の校風や教育方針説明から始まった。

男子中・女子中 それぞれの良さを語り合う教師達
男子中・女子中 それぞれの良さを語り合う教師達

 京華は、「男子は女子よりも成長曲線がゆるやかで、共学だと女子に圧倒される男子もいる。とはいえ、男子は興味を持ったり自信をつけると俄然、やる気を出す。そんな男子をじっくり伸ばす面倒見の良さがある。男子が出遅れる傾向のある英語教育については、イングリッシュキャンプやマレーシア留学などを取り入れている」と、のんびりタイプの男子のペースを大事にする姿勢を見せた。

 一方、東京女子学園は「書を読むだけが学問ではない。社会で役立ってはじめて学問である、という視点からキャリア教育を取り入れる。校風はのんびりして先生と生徒も親しい。英語で考え、話せる、という社会で求められる英語力を身につける。高校生になると英語でプレゼンが出来るようになる」と、社会で即戦力となる女子を育てる熱気を感じさせる。

 豊島岡女子学園は「思いやりの心を身につけ、能力を磨き伸ばしていく教育を実践。学校教育の一環として、毎朝5分間の運針の時間を持つ。無心になって縫うことだけに集中すること、こつこつ積み重ねることの大切さを体験してほしい」と66年以上続く「運針」の良さを説明。生徒の運針の様子を教師が毎日見守ることで、生徒の心の悩みに気づくチャンスにもなっているそうだ。

 本郷は「部活動に必ず参加し、仲間や先輩とのコミュニケーションを広げる。このコミュニケーション力が社会の第一線に立ったときの力となる。1日のうち3分の1は明日のために体を休める、3分の1は学習、3分の1は自己を高める時間。それぞれをバランスよくとるよう教える」と、コミュニケーション能力や自己コントロール力について語った。

男子校「男子は大器晩成型。最後に爆発的な強さを発揮」 女子校「電気の配線もできるようになる」

 男子校の特徴は、ゆっくり成長する男子ならではのペースに寄り添うことと、みんなで一つのことをやり、盛り上がる経験にあるようだ。

 「体育会の騎馬戦、勉強合宿、利根川激流の川下りなどで得た一体感によって強い絆が生まれる。大学受験のときもみんなで乗り越えようとする。大器晩成型の男子が多く、徐々にエンジンがかかり、最後に爆発的な強さを発揮する」(京華)

 一方、女子校も「文化祭では大道具や小道具を作ったり、電気の配線をすることなどすべて女子でやる。これこそが社会で役立つ力。チームワークも強く、友情を大切にする。こんな生徒たちは結婚後もきっと夫にイクメンになることを要求するはず」(東京女子学園)。「中学から高校まで一緒にクラブ活動をすることで、ロールモデルとなる先輩と出あえる。先輩が行くような大学に行き、先輩のような仕事につきたいという憧れの気持ちが、生徒それぞれの強い意欲につながる」(豊島岡女子学園)と、女子校ならではの良さをアピールした。

 教室では、各校の体験授業が受けられる。事前予約が必要だが、予約開始直後に、岩石標本を作ることができるなどの人気授業はすぐに埋まってしまっていた。授業は、理科、算数、英語、社会、思考力総合などさまざまあるが、理科の講座が一番多い。小学1年生から参加できるものもあり、高学年に交じって参加している子ども達もいた。各中学の教師達は趣向を凝らして実験型にしたり、ワークショップにしたり、ゲームにしたりするなど、小学生男子でも楽しめる工夫が満載だ。