こんにちは。女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳です。育休世代の夫の方々にお集まりいただいた「イクメン世代のジレンマ」座談会、第2回です。座談会の参加者は夫側が主夫というケースはなく、イクメンとはいえ夫婦の育児分担はどちらかというと妻に偏りがち。それにより妻は仕事上の第一線を退いており、ジレンマを抱えている様子が明らかになりました。共働きを続けていくことを決めている夫婦ですら、夫達はなぜ育児を妻と同等以上に担えないのでしょうか。育休を取ることによって不利益を被るような職場の要因、どこかで「妻にやってほしい」と思っている夫の意識の問題の両面に迫ります。

【座談会参加者プロフィール】
Eさん 31歳、私立大・大学院(教育)卒。ベンチャー企業→フリー。子どもは5歳と0歳。妻は第二子出産を機に退職し、今後の道を模索中。
Fさん 33歳、国立大(経済)卒。商社勤務。子どもは2歳。妻も同じ会社の同期。留学中、滞在期間の半分は妻が育休を取って同行、残り半分は単身赴任。
Gさん 38歳、国立大・大学院(工)卒。日系メーカー→第一子が生まれてから外資系の通信関係企業。子どもは5歳と2歳。妻も外資で営業に近い仕事。
Hさん 33歳、国立大(工)卒。日系メーカー勤務。子会社へ出向中、第二子出産に合わせて7カ月の育休を取得。育休から復帰後、本社に戻る。子どもは4歳と1歳。
Iさん 34歳、国立大(農)卒。広告代理店。子どもは小学2年生と3歳。妻はマスコミ関係フルタイム。

職場が問題? 育休後、第一線を外される…

中野円佳さん(以下、敬称略) 妻に育児負担が偏ってしまうのは職場が原因ですか?

Gさん(以下、敬称略) 私が働いている企業は本社が北欧なのですが、そこでの働き方を見ているとすごく羨ましいですね。17時には帰れるし、平気で「子どものお迎え」と言って15時くらいに帰る人も。法律で割合を決めているので、管理職も男女が半々くらいで、もちろん子どももいる。

 北欧では一人で働いていると成り立たないので、共働きが当たり前。確かに育児のほうが大変な面はありますけど、それでも子どもと接する時間が多くて羨ましいですね。本社がそうでも、日本ではそうはいかない。やっぱり自分の会社だけだと成り立たないんですよ。顧客がいるから。本社では育休も法律で取らないといけないんですよね。

Fさん(以下、敬称略) 会社側にも、例えば新卒採用だったら男性を採るほうがいいという本音があるんですよね。女性は脂が乗ってきたときにいなくなってしまうから。若いうちに育てた恩を30代で返し始めるみたいな面でいうと、男性のほうがリスクが無い、となってしまう。

 でも社会的な要請から女性も採らないと評判悪いから採るわけですが。単年度の業績を追う中で、長期的な日本経済はどうなのか、少子化から労働参加率と言われても現場の危機感は無く、ギャップがある。法律でやらないと変わらないかもしれないですね。

中野 実際に育休を取られたお2人は?

Hさん(以下、敬称略) 自分の場合、仕事はやりがいがあったのですが、副収入もあって金銭的な不安は無かったので、育休を長めに取りました。取るとき上司は「いいよ、いいよ」という感じだったのが、戻ったら「お前に設計の仕事は与えない」「(子会社に出向中の)本社の人間だから、そっちで職を探しなさい」という態度になっていました。

 上司との一対一の関係が悪かった面もあるかもしれないですが、自分の後に育休を取った人も「お前何を言ってるんだ」と面談で言われたようで、育休を取ったら能力関係なく第一線からは外すという方針みたいです。人事に相談しましたが、会社のCSRではダイバーシティとか育休とかうたっていても実際に人事にできることは少ないんですよね。

Iさん(以下、敬称略) 2012年に育休を取ったのは業界の中では結構画期的で、その後取得者は増えたんですよ。まぁ本当は3日くらいでお茶を濁したかったんですけど、妻が「誠意を見せろ」みたいな感じで、1カ月半取りました。

 実際それだけ取って、すごくよかったし、自分から子育てに関わりたいと思うようになりましたね。ただ、仕事でプロジェクトの中心に立つことが多いので、そことのバランスですよね。こちらにもお得意様がいるわけで。育児なりの大変さはあり、仕事に逃げている面もあると思います。

中野 Iさんは何か不利益を実際に被ることはありましたか?

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