著者は、テレビ局でTVディレクターとして勤務しつつ、会社員の夫と娘の3人家族で共働き生活をしていた。そこに突然降り掛かった「夫の海外赴任」。悩んだ末、2013年、家族でタイに引っ越すことを選択した。海外で生活する共働き世帯のママが日々考えることをつづる――。

お手伝いで得たお小遣いは、どう使う?

 共働きで常に猫の手も借りたい状態だったため、娘に家事のお手伝いを頼むようになったのは2歳半になったころ。お風呂掃除に始まり、洗濯物を取り込んで畳んでもらったり、簡単な料理を手伝ってもらったり……。おかげで小学生になるころには、娘はご飯を炊くこと、簡単なお味噌汁(ネギ、ワカメ、豆腐入り)くらいは自分で作ることができるようになった。「継続は力なり」というのは本当で、私のやり方を心得ている彼女のお手伝いはとても助かっている。

 わが家では、洗濯物(取り込んで畳むまで)や料理アシスタント(ご飯炊き+野菜を洗うなど)のお手伝いを1回とカウントして、1回いくらと決まった金額をあげることになっている。毎月のお小遣いはまだあげていないので、お金が必要ならば積極的に働いて貯めるしかない。

 娘はもらったお小遣いを基本的には好きな物を買うために貯めているのだが、インターナショナルスクールでは寄付を募るイベントなどが多いこともあって、お小遣いの半分近くを寄付するために使っているというのが実のところ。頻繁な寄付に違和感を感じたこともあったが、この寄付も子ども達が学ぶ場になっていることに親である私も遅ればせながら気がついた。子ども達が世界の困窮や災害について知る機会になっているのだ。

寄付をきっかけに知った、国旗に込められた意味

 大きな災害や戦争があったとき、私はできるだけ娘に写真や映像を見せるようにしてきた。小学校の低学年であっても、世界各地で起きていることを知っていてほしかったから。ただ、学校で戦争や災害についての話をするのはまだ先だろう……そう思っていた。

 でも、学校から災害に対する寄付のお願いがあった日、帰宅した娘は驚くほどちゃんと理解していたのだ。どこで何があったのか、現地の子ども達がどうしているのか、自分達にできる微々たることは何か、ということを。

 フィリピンに台風が直撃し、大きな被害が出たときには、フィリピン国旗の色の洋服で登校するということもあった。例えば、白と黄色のカットソーに青のショートパンツ、赤色の髪ゴム……というふうに。そして、皆でフィリピンのために祈り、寄付しようという趣旨だった。

 国旗の色を着ていくとなれば、なぜ赤色・青色・黄色・白色が使われているのか、理由を知りたくなる。

 調べてみると、白色には平等と友愛、青色には平和と真実と正義、赤色には勇気と愛国心の意味があるということが分かった。黄色の太陽は、独立の末に手に入れた「自由」を表しているということも、初めて知った。

 災害を学びのきっかけにするなんて……という意見もあるかもしれない。

 でも、その国がどこにあるのか、子ども達はどんな生活をしているのか、それにはどんな理由や歴史があるのか、寄付をきっかけに学ぶこともある。

 親が簡単に寄付金を出すのではなく、お手伝いを重ねて集めた大切なお金を寄付することにも意味がある気がしてならない。寄付のお金が寄付を受け取る側の人々にとって本当に必要なのか、このお金でどんな支援ができるのかを真剣に考えるきっかけになるのだから。