社会保険から読み解く、社会と自分との関わり

 次に明細の控除項目を見てみましょう。控除とは社会保険料と税金です。ここを詳細に眺めると、自分と社会との関わりが見えてきます。働くということは、単に会社に対する労働の対価をもらうことではなく、社会の一員として社会に貢献をし、同時に社会に守られているということだと分かります。

 社会保険料を見ると、結構多額ですね。社会保険とは病気・ケガの医療費や、高齢者への年金を保障する公的な仕組みのことです。会社員が利用するのは健康保険、厚生年金保険、雇用保険などです。

 健康保険料や厚生年金保険料など社会保険料は、月収の額に応じて決まる標準報酬月額を基に計算します。表Bは標準報酬月額と厚生年金保険料です。ネットで検索ボックスに「標準報酬月額」と入れてみると、表Bのような厚生年金や健康保険の標準報酬月額表がすぐに出てきますので、一度見ればイメージが湧きやすいかもしれません。

 4~6月の月収の平均から標準報酬月額を計算し、9月以降の1年間の保険料を出します。表Bで分かるように例えば月収が23万円以上25万円未満なら標準報酬月額は24万円、厚生年金保険料(会社員分)は2万969円というわけです。

表B 厚生年金保険の標準報酬月額(2014年9月~、一部抜粋) 出典:日本年金機構
表B 厚生年金保険の標準報酬月額(2014年9月~、一部抜粋) 出典:日本年金機構

 このため4~6月の残業代を減らして月収を少なくすれば、社会保険料を抑えることはできます。しかしなかなか自分の思い通りに残業をコントロールするのは難しいでしょう。しかも、「知っておきたい基礎知識3」のように、厚生年金保険料は会社と折半なので、標準報酬月額が増えれば会社もその分多く出すことになり、結果的に将来の年金給付が増えます。