大阪市の小学校で民間人校長として働く山口照美さんは、毎年、学校の「キャッチコピー」「合言葉」を決めています。今年は「いのち1番、にこにこ2番、3つみんなの敷津小」。その言葉に込められた思いとは?

 昨年度、「安全・安心な学校作り」をテーマに掲げて学校運営をした。仕事をするとき、どんな場面でも「キャッチコピー」の効果を信じている。キャッチコピー、という言葉がなじまないなら「合言葉」でもいい。敷津小に来たとき、教頭先生の作った「小さな学校★大きな家族 チーム敷津」が目に留まり、よし、これで行こう! と力が湧いてきた。入学式の式辞でも、伝える。小規模校をネガティブに捉えるのではなく、「大きな家族」とポジティブに捉える。保護者も、教職員も、地域で関わってくれる人も「チーム敷津」だ。

今年は「いのち1番、にこにこ2番、3つみんなの敷津小」が合言葉

 私自身も、ずっと同じキャッチコピーを校長公募に応募する前から持っている。「経済格差を教育格差にしない」。同じ志の仲間を増やす、合言葉。先日、修学旅行に向かう電車の中で、初対面の校長先生に声を掛けられた。「山口先生のブログの言葉に共感しています。『経済格差を教育格差にしない』ですよね」。素直に、うれしかった。

昨年の運動会用に作った教職員用の「チーム敷津」ポロシャツ。「小さな学校★大きな家族 チーム敷津」を英語でデザインし、保護者からも「欲しい!」と言われるほど好評だった
昨年の運動会用に作った教職員用の「チーム敷津」ポロシャツ。「小さな学校★大きな家族 チーム敷津」を英語でデザインし、保護者からも「欲しい!」と言われるほど好評だった

 また、学校に来て外国にルーツを持つ児童の多さに驚いた。そこから「世界につながる敷津小」を掲げ、様々な取り組みをしている。グローバル、国際理解教育という言葉より、子ども達にもすっと入る。

 今年は「命を学ぶ」をテーマに掲げた。キャッチコピーは、昨年度末で退職したI先生の作った言葉。「いのち1番、にこにこ2番、3つみんなの敷津小」。まずは命がないと、何もできない。お互いの安全を守ろう。命を大事にしよう。次に、仲良く過ごそう。いろいろな国の子ども達がいる。日本語が苦手な仲間もいる。助け合って、違いを認め合って笑顔で過ごそう。最後に、全員が力を合わせて学校は回っている。児童・教職員・PTAをはじめとする保護者・支援スタッフや地域の方。それぞれが役目を果たしてこそ、充実した学校生活が送れる。みんなで学校を作っていこう。