現在進行形で仕事と育児に奮闘するママ&パパに“効く”言葉や発想を、人生の大先輩から伝授してもらう「先輩デュアラーの魔法の言葉」。今回はシリーズ初となる先輩パパの登場です。

現在、株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表の佐々木常夫さんは、自閉症の長男を含む3人の子どもを育て、肝臓病とうつ病を患う妻を支える一方で、仕事上の責務を果たし、キャリアを追求。東レの同期トップで取締役に就任するとともに、家族の再生を果たします。その半生を赤裸々に綴った著書『ビッグツリー―私は仕事も家族も決してあきらめない』(WAVE出版)は大変な反響を呼び、数多くの読者に感動と勇気を与えました。

東レ時代、様々な事業改革に取り組む中で「ワークライフバランス」を率先して推し進め、そのカリスマとも呼ばれています。元祖イクメンにしてイクボスである佐々木さんの壮絶な中にも喜びと愛に満ちた家族のストーリーを伺います。上中下の3本でお送りします。

子どもが小さいころはやむなく長時間労働


佐々木常夫さん

日経DUAL編集部 佐々木さんは「ワークライフバランス」のシンボルのように称されていますが、実生活ではどのように実践されていましたか?

佐々木常夫さん (以下、敬称略) 新卒で東レに入社し、26歳で結婚、27歳のときに長男が生まれました。さらに年子で次男、長女が誕生し、あっという間に3児の父に。実は、子ども達が小さいころは、基本的に妻が育児と家事を担っていたんです。私のほうはというと、長時間労働をしていましたね。当時はもう、みんなそれが当たり前でしたから。

 戦後の高度成長期まで、男性は会社で一生懸命働き、女性は家庭を守るというのが、一つのかたちになっていました。それが幸せになる道だと、みんな思い込んでいた。まあ錯覚なんですけれど、そういう時代でした。

―― ご自身もそういうものだと思っていらしたのですか?

佐々木 私自身は違いましたね。会社の仕事はさっさと終わらせて、自分の好きなことをしたいし家族とも過ごしたいと思っていたんだけれど、会社がそうさせてくれない。上司も先輩もそうしない。色々と文句は言っても、結局は上司の言うことを聞かなきゃいけない。「しょうがないなあ」という感じで、私も長時間労働をやっていました。

 夕方になって突然上司に「課内会議をやろう」と言われたり、金曜日になって「明日、出勤しろ」とか言い出すんですよね。そういうことを言われると、「私にも都合があるんです。前もって言ってください」と頼む。そのときは上司も「すまん、すまん」と言うんですが、また同じことをする。「この人は、何度言ってもだめなんだ」と思いました。自分が上司になれば自分の思うようにやれますから、それまでは仕方がないので我慢していました。

次ページから読める内容

  • 上司の目を盗んでできるだけ早く帰宅
  • 六甲山が佐々木家5人の“庭”同然に
  • 子育てを妻に独占されるのはもったいない
  • 交渉事の苦手な妻に代わってPTAにも
  • ダイバーシティーは地域でも会社でも
  • 自己実現への強い欲求が原動力に

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