男性上司と女性部下には言葉と効果を使い分ける

Q 私は組織人としてキャリアを積んでいきたいと思っています。お話しにあったように「今を楽しむ」というのは共感できるのですが、企業でステップアップしていきたいというとき、男性上司はイチローみたいに「1年後は何」「5年後は何」という目標を求めます。女性には先々読めないことが多過ぎて目標を立てにくい面もあるので、夢とか目標に向かっての考え方をお聞かせください。

羽生 先ほどのギンカ教授の助言と同様に、私も男性上司と話すときの言葉と、女性部下と話すときの言葉を少し使い分けています。経営層に話すときは壮大なグランドデザインを数字を使って自信を持って伝えなければなりません。それがチームリーダーの役割ですからね。声も低めて、自分の性格以上に「人も事もしっかり管理しています」と説明します。そうでないと男性上司は不安で、同胞だと思ってくれないんですね。それは悪いことではなく、男性上司と話していると、自分にはなかった「ロングスパンの目標や計画」のヒントも見つかる。俯瞰的というか。

 しかし同じことを部下にしてしまうと、「管理」の部分が強すぎて、個性を生かし切れない。一人ひとり全員が活躍する舞台を作るのがリーダーの役目なので、「育む」姿勢を大事にしたいと思っています。ここではロングスパンよりもディテールに踏み込む丁寧さが求められることが多い。活躍している女性リーダーは、この鳥の目・虫の目のバランスを大事にしているんだなと取材を通して痛感しています。

 

西田 子どもたちの保護者は、子どもの未来の環境に多大な影響力を持ちます。お母さんが思っていること、読んでいるもの、しゃべっていることは子どもの未来をつくっていきます。大変なんだけれども、「楽しい」という姿勢が大事ですよね。そして一人ひとりが、家庭の中で、仕事の中で、自分を生かしていくことが子どもたちの明るい未来になると思っています。今日は素敵なお話をお聞きしました。

関連するURL
●日本財団ママプロ http://mamapro.jp/
●女性のためのリベラルアーツ講座 http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_1471.html

(取材・文/大友康子 写真/鈴木愛子)