子どものお迎えや見守りを誰かに手伝ってもらいたいとき、選択肢の一つに、原則として自治体ごとに設置される「シルバー人材センター」や自治体が運営する「ファミリーサポートセンター」の育児援助があります。1時間当たり700~1400円程度と、民間のベビーシッターに比べると気軽に利用でき、同じ地域に住むご近所さん同士という点でも安心です。利用を始めるに当たってはどのような手続きや注意が必要になるのでしょうか。気になるけどまだ利用を始めていない、というビギナーに役立つ料金・内容比較や実際に利用した人達の声を、関東エリアに絞ってご紹介します。

協力者が60歳以上のシルバー人材センター

 育児や家事支援を依頼できるパブリックサービスで代表的なのが「シルバー人材センター」だ。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づき、区市町村ごとに設置されている公益法人で、60歳以上の健康で働く意欲のある人が会員として登録している。利用したい企業や家庭からの希望に沿ってシルバー人材センターが仕事を引き受け、会員に仕事を提供する。

 区市町村ごとに設置されるため、依頼できる内容は各シルバー人材センターによって異なる。DUAL家庭のニーズが高いものには家事援助、部屋の掃除、洗濯、布団干しのほか、子どもの見守り、食事の支度などがある。

 例えば、保育園や学童などの送迎や自宅での見守りサービスを行う自治体を挙げてみると——。

●品川区……4歳以上の見守り、習い事への送迎
●目黒区……保育園・幼稚園の送迎(1回2時間以上、継続的な依頼のみ)
●大田区……保育園・幼稚園などの送迎、保育園など帰宅後の見守り
●世田谷区……3歳以上の保育園・幼稚園・習い事への送迎
●杉並区……保育園・幼稚園・習い事への送迎、2歳以上とのお留守番
●足立区……保育園への送迎(5歳以上で徒歩での送迎に限る)
●小金井市……保育園・幼稚園・学童・習い事への送迎、留守中の見守り
●日野市……保育園・幼稚園への送迎、子どもとのお留守番
※2014年7月時点

 シルバー人材センターによっては「乳幼児の場合は、保護者が近くにいることが条件」「送迎、見守りは4歳以上」「見守りをしながらの家事援助は受けられない」などの条件がある場合も。そもそも「子ども関連の仕事は行っていない」というところもある。 一度、住んでいる地域のサービス内容を確認しておくといいだろう。

まずは電話で相談し、自宅で事前打ち合わせをする

 実際に利用したいと思ったら、まずは地域のシルバー人材センターの営業時間内に連絡を入れることから始まる。センターにもよるが、最初の電話で詳しい内容や条件を相談できることが多い。条件や金額などを確認して、契約を結ぶことになる。

 センターが人材を探す間は2~3週間程度待つことが多い。お願いできる会員が決まったら、利用前に会員とシルバー人材センターが利用者の自宅を訪問し、子どもと顔合わせをしながら、どのような仕事をお願いするかの打ち合わせを事細かに行う。

 「『そのような依頼をしたつもりはなかった』などとトラブルが起きないよう、『おやつはこれをあげて』『テレビは見せないで』といった要望や、鍵の受け渡し方法、アレルギーの有無など細かい情報を伝えるようにしてください」(東京しごと財団のシルバー人材センター課長・板谷明さん)

 こうした事前の打ち合わせは、基本的には平日の営業時間内に行われる。

 お願いした日、もし急に会員の都合がつかなくなってしまったら……?「別の会員を手配できれば手配しますし、できない場合はセンターの職員が急きょ伺うケースもあります。いずれも対応できる範囲内でできる限りカバーするようにしています」(板谷さん)

 支払う金額は、依頼内容や地域のほか、依頼が定期的か単発かによっても変わってくるが、定期的な利用なら1時間1100~1200円程度で、1回のみの場合は1時間1300~1400円程度。交通費や食事などの実費は別途かかる。

 活動後にシルバー人材センターから請求書が届き、指定する方法で料金を支払う仕組み。銀行やコンビニなどでの振り込みが一般的という。