ロンドンから田舎町に移住

川合 ここまで読んで、「ああ、イギリスに移住したい」と思われているDUAL読者も多い気がします(笑)。さらに牧瀬さん一家は、3年前にロンドンから奥様の故郷であるチェルトナム(イングランド南西部グロスター州にある行政区域。観光地として世界的に有名なコッツウォルズ地方の端に位置する街)に移り住みました。育児中の家庭が大胆に生活環境を変えることは、望んではいても実行はなかなか難しいと思います。移住することになった経緯を聞かせてください。

移住したコッツウォルズ地方の田舎町、チェルトナム
移住したコッツウォルズ地方の田舎町、チェルトナム

牧瀬 はい。私達が住んでいた東ロンドンはお世辞にもあまり治安がいい所ではなく、学校の教育レベルも疑問でした。しかも、ロンドンは大都会なのでとてもせわしない。子ども達のために生活環境を変えたいという気持ちが僕ら夫婦の中で日に日に強くなっていきました。

川合 決断の決め手は?

牧瀬 家族が住む場所として、ロンドン、チェルトナム、そして日本と3つの候補地を挙げました。次に、妻と二人でそれぞれの場所に住むメリットとデメリットをすべてリストアップしたんです。その結果、チェルトナムが一番メリットが多かった。妻の実家なので家族のサポートがある、自然が豊かで治安がいい、不動産の物価が安い、というのが大きな理由です。さらに偶然なのですが、引っ越しを真剣に考え出したのと時を同じくして、妻がチェルトナムの語学学校から就職の誘いを受けたことも、最後の一押しになりました。

収入は減ったが、生活の質は向上

川合 生活環境を変えるに当たり、当時想像していた一番大きなリスクは何でしたか?

牧瀬 経済的な問題です。私がロンドンでの定職を辞めることになるので。引っ越しを決断する前に家計簿を妻と二人で綿密にチェックしました。しばらくは、妻一人の収入でも多少の余裕を持って生活できるか確認しました。

川合 勢いで引っ越ししたのではなく、夫婦でかなり綿密に計画を立てての実行だったのですね。そして、新天地での生活が始まって3年が過ぎようとしています。感想は?

牧瀬 正直ロンドンで生活していたときより、妻と私の収入はかなり減りました。でも、不思議なことに生活の質は向上したんです。物価が安いので一軒家が購入できたり、いい学校に入れて子ども達の笑顔が増えたり、それと何より、近くに協力的な家族がいるのといないのとではこんなにも精神的・体力的にも違うのかと改めて痛感しています。妻の家族には感謝してもしきれないくらいです。あと、余談ですが、田舎なのであまり外見にこだわらなくなり、その点で無駄な出費も減りましたよ(笑)。


 いかがでしたでしょうか。予期せず、今回の記事では「子育てのためのライフスタイルの変化」が裏のテーマとして浮かび上がってきました。よりよい子育て環境を求めてフリーランスへ変化した僕と、引っ越しという大変化を選んだ牧瀬さん一家。現状の中で努力し、向上しようとするのと同じくらい、思い切った変化も育児家庭にとって大切な選択肢だと実感しています。2回にわたる対談記事、お楽しみいただけたなら幸いです!

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