子どもの病気は夫婦交互に面倒を見る

川合 子どもの病気などで、保育園に行けないときはどうしていましたか?

牧瀬 基本的には夫婦交互に休みを取って面倒を見ていました。

川合 ウチは僕が比較的時間と場所に縛られずに働けるフリーランスですので、もっぱら僕が保育担当です(笑)。でも、頼れる人が周りにいない共働き家庭で、しかも職場が育児に理解がなかったりしたら、それはもう大変だろうな、と想像します。そのあたり、何とかならないもんかな……。

 ところで夫婦交互で休みを取ったという話に関連して、育児を含む家事全般を見たとき、英国では男女がフェアに家事をこなしているという印象を僕は持っています。そのあたり、どう思われますか?

牧瀬 その通りだと思います。これまで11年間英国で働き、子どもを育てながら生活してきた経験から、とにかく英国は日本に比べてあらゆる面で男女平等です。日本でいう「男性だからこうでなければいけない!」とか「女性はこうあるべきである」といった社会常識のようなものがあまりありません。仕事場では男女ともに同じ権利を行使できるし、育児に関しても平等に参加するのが当たり前です。

川合 極端かもしれませんが、「男性だから育児に参加しなくても許される」「女性は絶対育児しないとおかしい」みたいな「常識」は日本でしか通用しない、ということですね。英国でも僕達の親世代は今の日本と似たところがあったようですから、ここ30〜40年で進化しましたね。

牧瀬 そうですね。ウチでは夕食は早く家に帰ってきたほうが支度をして、遅く帰ってきたほうがお風呂に入れ、子ども達を寝かしつけるというルールになっています。

年20〜30日の有給休暇をフル活用

川合 必ずしも英国の男性が優れた父親的素質を持っているというわけではなく、日本では父親を忙しく働かせすぎる社会自体にも原因があります。逆に、英国では特別育児をやる気がない父親も(笑)、家事・子育ては夫婦でフェアに担当という社会的な常識があるので、流れで子育てに関わっているケースも少なくないと思います。

牧瀬 確かに。日本に住む父親は忙し過ぎてほとんど育児に参加できないのが現状ではないでしょうか? 英国では、男女問わず定時で仕事を終わらせ、家族で一緒に夕飯を食べるのが普通です。残業が普通で定時退社はまれ、という日本とは真逆です。また英国人は有給休暇も平均年20〜30日をフルに利用し、家族サービスをしますよ。

川合 僕はフリーランスなので有給休暇は無いですが、日本ではよく「有給休暇が未消化」という話を聞きます。そんなことは、英国ではまず考えられない、ということですね。

牧瀬 はい。英国ではそのような社会的通念の後押しもあり、全体的に見て、英国の父親は育児に参加する時間が長いように思います。育児にこれからも積極的に参加したい私にとって、そういう英国での生活は住みやすく肌に合っているように感じます。