保育園、それともベビーシッター?

牧瀬 英国の会社も利益優先には違いありませんが、育児家庭に対してより寛容だと思いますね。ウチでは、妻の1年間の育休が終わると、夫婦そろって時短勤務の週4日で働き始めました。英国の育児家庭にとって、時短勤務は男女ともポピュラーな選択肢の一つです。私の勤務先でも副校長をはじめ、育児中の多くのスタッフが男女とも時短勤務していましたよ。

川合 その時短文化は、日本と決定的に違いますね。日本で時短勤務しているお父さんに今まで出会ったことないな〜。週4日勤務でも、夫婦とも勤務する曜日も出てきます。そのときはどうしていましたか?

牧瀬 週3日、保育園に預けていました。朝8時から夜6時ごろまでで、一人一日55ポンド(約1万500円)はしていたと思います。かなり高額です。ナニーを頼むほうが安く上がると思いますが、保育園で色々な子ども達と遊ばせるほうが社交的になるのではと思い、保育園にしました。待機児童問題のある日本の比ではないにしろ、ロンドンもエリアによっては希望の保育園に入れるのが難しい場合もあります。

川合 ナニーというのはベビーシッターですね?

牧瀬 はい、そうです。クチコミや、評判のいいナニー専門エージェンシーを通じて利用される方が多いと思います。

英国の保育園の風景
英国の保育園の風景

英国の子育て支援制度とは?

川合 ロンドンでの子育てで、あってよかったなと思ったサービスなどはありますか?

牧瀬 はい、妻と私の職場は「Childcare Voucher(チャイルドケア[保育]バウチャー)」という制度を導入していました。毎月243ポンドが、自分の給料から自動的に子どもが通っている保育園に支払われるシステムです。

 何がよいかというと、この243ポンドは非課税なんですよ。英国では給与に20〜40%の所得税がかかるので、これは大きかったですね。夫婦そろって登録していましたので、年間日本円にして約40万円ほど節約できました。しかし、このようないい制度があるとはいえ、もともと保育料が高額なので、長女と次女が2人とも保育園に通っていた時期は、保育料を支払うためだけに仕事をしているような状況になっていました。

川合 なるほど。日本の認可保育園は親の収入によって保育料が違いますし、全体的に英国よりもリーズナブルです。その点では、日本はかなり恵まれていますね。僕もいつも、保育園さまさまだな、と思っています(笑)。ウチのような共働きで、しかも夫婦以外に子どもの面倒を見られる人が近くにいない場合は、特に保育園の存在はありがたいです。