子育て奮闘中のパパライターが「学童についての素朴な疑問」を探っていくこの連載「パパライターが直撃『学童が知りたい!』」。今回は“番外編”5回シリーズ。学童を卒所した直後の「小学4年生」というタイミングにフォーカス。公設学童に子どもを通わせている(または、通わせていたことのある)日経DUAL読者が集まり、“小4の壁”について本音で語りました。「“小4の壁”って何?」「先輩ママ達はどうやって乗り越えてきたの?」…、学童卒所生の親としての赤裸々な体験談、注意ポイントなどを細かく紹介します(※ 学童の開設時間などの詳細は、お子さんが通っていた当時のものです)。

<目次>
●“小4の壁”と“小1の壁”の決定的な違いとは?
●親は罪悪感でいっぱい。でも、子どもは意外と……
●一番不安なのは、長期休暇の過ごし方
●ゲーム機は“与えない”派? “与えてルールを徹底する”派?
●考え方はその家それぞれ。大事なのは、親同士が理解し合う努力

“小4の壁”は、“小1の壁”よりも「想定内」が多い

<座談会参加者プロフィール>
●横山弘子さん(仮名):千葉県浦安市在住の中3女子と中1男子の母。浦安市の学童は夜7時まで延長料金なしで預かってもらえる。さらに小4まで登録が可能と恵まれた環境で、“小4の壁”というよりも“小5の壁”を経験。2人の子どもは中学受験をして私立中学に通っている。PR会社勤務。

●川上桐子さん(仮名):神奈川県横浜市港北区在住の中1女子と小2男子の母。長女は小学校から遠い、父母が運営する公設学童に通わせたが、下の男の子が小学校入学時に民間学童が学校近くに開設されたため、そちらに通わせつつ、1年後には二度目の“小4の壁”を経験することになる。外資系メーカー勤務。

●片山里奈さん(仮名):東京都文京区在住の中2男子の母。3年間、公設学童に通わせた後、“小4の壁”を前に“小4の壁を乗り越えるためのコミュニティー”を設立しようかと真剣に考えるくらいに心配していたという経験を持つ。広告代理店勤務。

横山弘子さん(仮名)
横山弘子さん(仮名)

DUAL編集部 これまでお話を聞いてきて“小4の壁”は、ちゃんと準備しておけば乗り越えられるという印象がありますが、いかがでしょうか?

横山 そうですね。“小1の壁”は子どもが通う場所が保育園から小学校・学童へ変わるという大きな変化がありますが、“小4の壁”はそこまでの大きな変化はないと感じます。学童に寄らないで帰宅するようになっただけであって、友達のメンバーがガラッと変わるといったことはありません。

 もちろん学童に通わなくなることも壁は壁なのですが、親からすれば、ある程度想定も準備もできることが多い。「今日から急にすべてが変わる」というのではなく、事前に試しにやってみて徐々に慣らすということが可能な場合がほとんどです。

片山 小4になって学童に行かなくなってから「あれをやっておけばよかった」と後悔することはなく、日々リズムをうまくつかんで、子どもの成長を見守りながら改善していけばきっとうまく乗り越えられると思います。

横山 小3から小4って子どもが大きく成長するタイミングなのかなって、今振り返ると思います。例えば、ウチの場合は弟が小4のときには「いつかカギを落とすんじゃないか」とものすごく心配していましたが、結果的には一度も落とすことはなかった。そういうことからも、実は子どもは親が思っているよりもきちんとしているものなのではないかと、わが子の行動を見て思うようになりました。

 もちろん、まだまだ信頼しきるには幼いですけれど、少しずつ任せていればある程度のことは本人が自信を持って行動できるようになってくると思います。いずれはそうなってもらわないと困りますから、「子どもが自立して成長していくためにさりげない下準備をして見守ってあげる」という感覚が必要なのではないかと思います。

親は罪悪感でいっぱい。でも、子どもは意外と“平気”

川上 親のほうは罪悪感でいっぱいなんですよね。学童が無くなって、「朝から晩まで一人で留守番だなんて、かわいそうだなあ」って当時は思っていました。でも、先日、中1になった娘に「子どもにとって一人でいる時間は大事なんだよ」って言われたんです。

一同 え、どういうことですか?

川上 「小学生のころは帰宅時間が比較的早かったから一人でいられる時間があったのに、中学生になってからは帰宅は19時。弟も家にいるから家で一人になれる時間が無くなった。でも、一人でいる時間は大事だし必要」と感じていたみたいです。

 親は親なりに悩んだりするものですが、その一方で子どもには子どもの事情というか、いろんな思いがあるんだっていうようなことを言われました(笑)。そこにはやはり親には分からない“何か”があるのかもしれないですね。

―― 面白いですね。皆さんのお子さん達だけで座談会してもらいたいですね(笑)。

一同 (爆笑)

川上 ウチもお姉ちゃんのほうが中1になって今ちょっと反抗期。何かあるとすぐに母娘ゲンカになってしまうんですけど、子どもって何か急に話したがることってあるじゃないですか。昨日、たまたまそんな感じだったので、娘と“小4の壁”のころについて色々話をしたんです。すると、親の想像もつかなかったようなことを思っているんだなって実感しました。子どもってただただ「寂しい」と思っているだけじゃなかったんですよね。

横山 高学年になると授業が6時間目まである。掃除をして友達としゃべっていたらあっという間に16時とか16時半になるわけです。それから家に帰って、おやつを食べながらテレビを見ていたりすると、もうお母さんが帰ってくる。子どもが一人でくつろいでいられる時間は、ほんのちょっとなんですよね。

川上 確かにそうですね。親に何も文句を言われることも無いわけですし(笑)。

横山 親が帰ってくれば「宿題やったの?」とか「あれ出しなさい!」などとガミガミ言われる。これでは「うるさいな」って思うのも無理はないですよね。“一人でホッとできる時間”っていうのは、たぶん、子ども達は嫌ではないと思うんです。