考え方はその家それぞれ。大事なのは、親同士が理解し合う努力

―― 色々と多岐にわたってお話いただきましたが、最後に日経DUAL読者に向けてメッセージなどありますか?

川上 私はここで皆さんのお話をお聞きして、ちょっと新しい考え方を吸収できたかなと思っています。先ほどの「何でも禁止するのは簡単だけど……」っていう話はすごく勉強になりました。

 やっぱり、どうしても「あそこはお母さんが働いているから」と思われたくないという気持ちが強くなってしまって、どうしても子どもに厳しくしてしまったり、やたらと何でも禁止したりとかしてしまっている自分に気づくことができました。

 働いているということに引け目を感じていて「何でも禁止」してしまっているのですが、やはりある程度子どもを信頼しつつ見守りながら、自分も親として成長していかなくてはいけないんだなって。いつも自分の認識のみで動いてばかりでしたが、何か再発見ができたなあって思います。

片山里奈さん(仮名)
片山里奈さん(仮名)

片山 小3のときは心配な気持ちでいっぱいでした。「文京区では、女性が中小企業などを立ち上げるのに200万円程度の補助金が出る」というのを聞いて、小4以降の子どもを預かるコミュニティーを立ち上げようかと本気で思っていたほど真剣に、“小4の壁”をどう乗り越えようかと必死になっていたんですよね。でも、慣らしをしていくうちに、意外と子どもは大丈夫であることに気づいた(笑)

 母親の私が一人で悩んでいただけであって、過ぎてしまえば、子どもはちゃんと成長していくんだなっていうのが分かった気がします。それを皆さんにはお伝えしたいですね!

―― 小4の壁を乗り越えたころには、親としても成長できているといった感じでしょうか?

片山 そうでしょうね。子どもが小学生になって、保育園とはまた違う友達同士のコミュニケーションが成り立つようになっていく。そのなかで、親が働いている家庭の子どもである自分は、母親が働いていない家とは違うということも分かってくるわけです。でも、そのなかでも気の合う友達もできる。そこでどううまくやっていくのかということを子どもなりに消化して、親が思う以上に成長するんです。

 親もダメ、ダメって何でも厳しく禁止してばかりではいられないんです。子どもには子ども同士のつながりがどんどんできてくるし、そこには親のエゴだけではどうすることもできない世界ができてくる。だから、親も親同士で仲良くする努力をすることが大事ですし、いかに円滑に親同士でコミュニケーションを取っていくべきなのかといったことを、色々と考えさせられました。

 それぞれの家庭で親の考え方も違うから、まずは知り合う努力をしていれば、それによってまた別の世界が見えてきたりもします。働いていないお母さんであっても、きちんとお付き合いができるように心がけていれば、「何かできることがあったら言ってくださいね」と声をかけてくださる方も多くなってきます。

 そういう親同士のつながりが育っていけば、何かあったときに子どもを預かってくれるような親同士の友達関係もたくさんできてくるので、自分一人だけではできないこともできるようになります。親同士のネットワークづくりというのは、やっぱり大事なんだと思います。