日本のメークアップアーティストの草分けがこの道60年のプロの技を伝授するというのだから、開場30分前から長い列ができていたのもうなずけます。5月24日(日)、東京ミッドタウン(東京都港区)で開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2015」で、小林照子さんが披露した「ハッピーメイク術」と、ユーモラスで勇気づけられるトークのエッセンスをお届けします。

「壁ドン」の日々を乗り越えて

 まずはこの2枚の写真をご覧いただきたい。

 「みんなー、ノってるー?」と壇上のスターが叫ぶ(上写真)と、会場から「イェーイ!」(下写真)……いやいや、確かにライブ会場かと思うような熱気には包まれていたが、ここは小林照子さんのハッピーメイク術&トークショーの会場。小林さんとじゃんけんをして、ぜひとも「ハッピーメイク」を施してもらおうと、女性達が真剣勝負に臨んでいるのだ。

 トークショーの始まりは、極めて知性溢れる落ち着いた雰囲気だった。日経DUALの羽生祥子編集長が、小林さんの華麗なる経歴を紹介。コーセー化粧品で美容部員としてキャリアをスタートさせ、美容部長、初の美容研究員、初の女性取締役に上り詰めるまでの日々(こちらの小林照子さんのキャリア街道もぜひご参照ください)を、小林さんはさらりと一言でまとめてみせた。

 「壁ドンの毎日でしたよ」

 壁ドンってあの……「ドンって壁を突き破るのよ、私の場合は」と笑う。“角を生やして鬼のように”仕事をして、美容液やパウダーファンデーションなど、数々の世界初の商品を世に送り出してヒットさせるという実績を築き上げた。

印象分析から幸せになるメークを

 50代で独立した後は、美・ファイン研究所で数々のヒット商品を手がけるかたわら、印象分析理論に基づく「ハッピーメイク」を通して多くの人々に幸せをもたらしてきた。

 自分では知ることのできない外見の印象と、自分自身が知っている内面の性格を分析し、どこが重なり、どこが対比するかを知ることが出発点となる。そして、そこからなりたい自分はどんなだろうと考え、その希望に向かってメークをする、というのが「ハッピーメイク」のコンセプトだ。

 「では今から、2名の方に『ハッピーメイク』をしてもらいます」という羽生編集長の言葉で、会場はにわかに色めき立ち、上の写真のような場面が展開されたのである。最終的にはじゃんけんに「負け」た二人が壇上に。「もうちょっと、というところで負けちゃって今日は運がないな、というお二人にこそ『ハッピーメイク』をしてもらいたいじゃない?」と小林さんが言う。このユーモアが彼女の魅力だ。

終始にこやかに、ユーモアたっぷりに話をする小林さん
終始にこやかに、ユーモアたっぷりに話をする小林さん